寿司図鑑 雑記30

島根県松江市『大鯛寿司』で考えた 01

2008-12-29
松江市島根半島で揚がった見事なブリ。これからますます脂がのってくる

ましてや松江市など日本海に加えて、広大な汽水域(宍道湖、中海)にも面しているのだ。
多種多様な松江に揚がる海の幸・湖の幸を握ってくれる理想的なすし屋はないものか。
「グッドすし屋をもとめて」松江市内を懸命に、地道にぼうずコンニャクは徘徊している。

その「グッドすし屋」候補第一弾として挙がったのが『大鯛寿司』という店。
この店との出合いは、松江のすしも素晴らしいではないか、と思い改めるに充分なものだ。
書き疲れてきたので『大鯛寿司』に関しては次回に。

大鯛寿司 島根県松江市東奥谷町361-9
「すし」は現代人にとってもっとも魅力的な食の分野だろう。
食の分野はいろいろある。
アメリカからきているフライドチキン、ハンバーガー。
イタリア由来のスパゲッティ。
韓国からの焼き肉。
この国の持っている固有のものとしてうどん、そば、鍋。
様々な食の分野があるにはある。
でも[その食をもとめてわざわざ遠くから旅をしてくる]ほど魅力的なものは「すし」くらいではないか?
北海道小樽、札幌、宮城県塩釜、東京築地、石川県金沢などには[すしだけを食べるために]全国・もしくは海外から老若男女がやってくる。
例えば面白いことに我が『市場寿司 たか』にだって、「インターネットを見ました」といって、なにかのついでかも知れないが、なんと全国から、都心から1時間半もかかるのにやってくる。
ことほどさように、すしは魅力的なのだ、現代人にとっては。

さて、島根県松江市は国内有数の観光地である。
宍道湖に面した古い城下町で、江戸時代の天守が残る松江城があり、松平治郷(不昧)の残した独自の文化がある。
素晴らしい温泉が市内宍道湖畔に湧き出ている。
「松江に行ってみたい」と思うにはこれだけで充分じゃないか? とボクなどは思う。
最近、人に会うたびに[旅に行く動機]の最大のものを問い掛けてみた。
年齢が高いとバラツキがあり、マチマチなんだけど若い世代には共通点がある。
旅に出かける動機、[1 おいしい食べ物]、[2 買い物が楽しめる]。
買い物はともかく松江市にはおいしい和菓子がある。
出雲そば、宍道湖七珍(宍道湖の魚貝類)。
これだけあれば充分に思える?
残念ながら、それが大間違いなのだ。
実を言うと宍道湖七珍は有名無実化してしまっている。
現在でもたっぷりとれているのがヤマトシジミとスズキなのだけど、[シジミを食べに旅をしてくるだろうか?]、[汽水にいるスズキって本当にうまいのだろうか]。
もろげえび(ヨシエビなど)、シラウオ、コイ、あまさぎ(ワカサギ)、ウナギ。
七珍を七珍たらしめるには、県としても懸命な努力をしているのだが、まだまだ時間がかかりそうだ。
出雲そばって、旅をしてまで食べに来るほどの存在なのだろうか?
松江市が観光都市として完璧であるためにはやはり食の魅力が欠けていないだろうか?
もしくは魅力が埋もれている可能性がないだろうか?

島根県の水産アドバイザーとして、水産物の面から松江市をみて、ぜひとも欲しいのが「うまいすし屋」だ。
なぜなら松江市が日本海に面して、海産魚貝類に満ちあふれているからだ。
日本海のうますぎる海産物を多種楽しむにはすし以外に方法はないだろう。
松江市という都市をして観光客の一般概念には海産魚貝類は入っていないに違いない。
ここが出雲人の不思議なところで、富山県の人が前海の魚をむやみやたらに自慢しているのに対して、むしろこっそり隠しているかの如くだ。
ボクなど他県人から見ても、島根県が富山県に海産物で劣っている点などどこにもない。