寿司図鑑 雑記15

「市場寿司 たか」も8年目

2008-07-10
 それは7年も前のことだったのだ。
 東京都日野市にあった「宝ずし」を閉店して、いろんなところで渡り職人などをしていた渡辺隆之さんが、
「こんど市場(八王子総合卸売センター)で寿司屋をやりたいんだけど」
 と声をかけてきた。
 それで店のコンセプトや値段設定、平面などを二人で話し合い作り上げていく。
 ついでに店の名前を「市場寿司 たか」にしたのもボクだ。
 キャラクターの「たか君」を考えてのもボクである。
 そう言えば、最近「たか君」の影が薄い。

「市場寿司 たか」の基本的なコンセプトは「散歩がてら気軽に立ち寄れるすし屋」であること。
 それでいながら味、ネタを吟味する。

・人を雇わない
・使えるものは冷凍品なども利用する
・市場のすし屋なのだから市場の人脈を利用する
・市場のすし屋なのだからこまめに仕入れをする
 以上の4点で価格は抑えられる。
 また人情すし屋を通すこと。悪い意味合いでの常連さんを作らない。
 酒を積極的におかない(できれば飲んで欲しくない)。

 これじゃ、儲からないよ。だれもがそう言って開店を危ぶんだ。
 けれど、今年7年目となって店は安定しているのだ。

 市場寿司だから町のすし屋よりもネタが多彩だ。
 ときどきボクがビックリするようなネタを持ってくるし。
 またこの「寿司図鑑」を見て食べに来てくれるお客も増えている。

 これからの課題は「おまかせ握り」をつまんで、+お好みで一、二かん追加してくれる。
「こうだと生活楽になるんだけどね」
 というもの。この日も小降りのきんき(キチジ)を片身一かんに仕込んでいた。
 小振りのイサキもいいし、八の身(マグロの頭部の肉)がたっぷり。
 出汁巻き卵を6本焼いて、マアナゴは煮上がってきている。

 こんなネタを見ながら疲れ果てたときに「市場寿司 たか」でお願いするのは河童巻き。
 キュウリは置いてないのでボクが八王子綜合卸売協同組合「河村青果」まで買いに行く。
 なぜなんだろう「疲れると無性に河童巻きが食べたくなる」
 こんなわがままを聞いてくれるのも「市場寿司 たか」ならでは。

 さてさて8年目を迎える「市場寿司 たか」は今絶好調。
 種よし、人よし、市場よし。
 ここにきておすすめの一かんをお楽しみいただきたい。