寿司図鑑 雑記16

堺魚市場寿司

2008-07-12
 最近旅が多い。
 島根に行くことが多いということもあり、大阪で一泊することがこれまた特に多い。
 そんなとき、ボク以上に旅また旅の、オヤジ仲間の、まささんと大阪市場巡りをした。
 初っぱなが大阪市の真隣の堺市、堺魚市場。
 市場は小さいし、また荷(魚貝類)も少ないということでややがっかりした。

 がっかりしたオヤジ二人で暖簾をくぐったのが、「堺魚市場寿司」というカウンターだけの寿司屋だった。
 カウンター内には父子が職人で、女将さんとの三人。
 堺魚市場は明らかに昭和40年前後に建てたものだろう。
 古くて暗い。
 その場内同様に「堺魚市場寿司」も年を重ねているようで、今時の落ち着かない作りではなく、我らオヤジはすぐに馴染めるごときものだ。
 カウンターの中ではオヤジさんが盛んに包丁を左右に動かしている。
 穴子(マアナゴ)を裂いているのだ。
 関西でのウナギ、穴子などは腹開きでちょうど頬の部分からトンとあてて引く。

 カウンターを見るとショウガとともに、刷毛が投げ込まれた壷(つぼ)がおかれている。
 さて、席についてもお茶は出てきたものの小皿がない。
 この「堺魚市場寿司」では2かんずつ注文し、長方形の使いこまれた安皿にのせて出てくる。
 値段はどれでも300円。これは加工品を使わない寿司屋としては非常に安い。
 醤油は壷の中に入っており、お好みに合わせて刷毛で塗るのだ。
 これはここ数年で訪れた大阪の寿司屋での常識。

 目の前の穴子裂きを見ていて、最初の一かん目を決める。

堺魚市場寿司 堺市堺区栄橋町2-4-28