寿司図鑑 雑記34

鳥取市賀露港かろいち内『寿司若林』

2009-03-29

賀露港は鳥取市中心街からクルマで10分前後のところにある。
ここは江戸時代には鳥取藩の海の玄関口だったところ。
今では鳥取県東部の漁港としては岩美町の網代港とともに双璧をなしている。
冬には松葉蟹(ズワイガニ)で有名だし、その水揚げされる魚種の多さでも屈指のものだろう。
ここに漁協などを中心として作られたのが『かろいち』である。
いわゆる観光的な市場として作られたものではあるが、その魚貝類の新鮮であること、安いことで“魚好き”には知られる存在となっている。
その市場内で魚貝類を買って、さて飯でも食うかというときに見つけたのが『寿司若林』なのだ。
経営母体である鮮魚塩干などを売る若林商店の奥にある。
見た目はいかにも今風の、非常に稚拙で無駄な装飾多しといったもの。
この店の作り方のヘタクソ加減というか、最近の店舗設計者の稚拙なことは目を覆うばかりだ。
たぶん、この幼稚な店舗設計のあり方はまだまだこの先延々と続くのだろうな。
当然なかも今時の住宅のキッチン風なところと、無駄な装飾が施されている。
これではボクなど一瞬引いてしまう。
はっきりいって、より簡素、実用的な方が、居心地も、店への期待も膨らむはずだ。
「これはダメだ」という気分のなか、同行の大国様のお墨付きを無理矢理信じることとする。
その“情報(経験)”によると、「以前来たときはとてもおいしかった。その上安い」、「実際に味がいいと評判で休日など行列が出来る」のだという。

開店の11時ちょうどに入店したためにお客はまだ少なく、カウンター内で女性4、5人がまだ終わっていない開店準備の続きをやっている。
カウンターはゆったりしており、奥には何があるのだろう? 椅子席もありそうだ。
正面に張りめぐらされた乱雑な品書きのなかから、とりあえず「本日の8かん」と、「鰰(ハタハタ)」、「モサエビ(クロザコエビ)」をお願いする。

注文を受けて、握り始めたのが、これまた女性。
見た目は職人というよりは主婦もしくは魚屋のオッカサンだ。
思わず身を乗り出して見ると思ったよりも手つきがいい。
しかも適度に早い。
出てきた8かんも予想を超えた出来映えなので、味への期待が膨らむ。