寿司図鑑 雑記12

すし飯

2006-01-30
 すし屋の話でとても気になることがある。それは客の側にあるのにすし飯を「しゃり」と呼ぶことである。寿司職人が「しゃり」と言うのは一種の不調であって作り手が言ってこそ様になる。それを食べる側が言っていいものか? 疑問を感じるのだ。同様に玉子焼きを「玉」、シャコを「ガレージ」なんてのも食べ手が言うのは粋じゃない。さて、その「しゃり」だけどこれは明らかに「仏舎利」から来ているのだろう。飯粒を釈迦の骨に例えるほどに貴い、また大切に握れよと職人の心意気なのだ。さて、寿司職人の腕を生かすも殺すもすし飯いかんによるのだが、これを支えているのが米屋である。『市場寿司 たか』のものは日々、八王子総合卸売協同組合『日本堂』が納めている。銘柄、産地などに決まりはなく、季節季節に両者が話し合って決めている。これが今まさに絶妙のすし飯を作りだしている。年末に上京した鹿児島の、わかしおさん。もう『市場寿司 たか』は持ち帰り用のちらししか作っていなくてネタを味わうというわけにはいかなかったが、この「すし飯がうまくて、驚きました」と話してくれた。毎日使い切り、炊きたてのすし飯を食べられる『市場寿司』である、じっくりすし飯のうまさも堪能してほしい。