寿司図鑑 雑記26

手巻きずしの誕生

2008-09-20

 ときどき我が姫が『市場寿司 たか』で作ってもらうのが手巻きずしというやつ。
 回転寿司などでは定番のものらしい。
 我が家でもときどき作るのだけど、いったいどこで生まれたものなのだろう。

 ここでヒントとなるのが、手巻きずしに使う海苔はすし屋の細巻きのものと共通するということ。
 細巻き用の海苔は1枚を半分に切ったものだ。
 最近では手巻きずし専用の海苔も発売されているが、原則的には「すし屋が使う海苔のサイズ」なのだ。

 そこで何人かの寿司職人にインタビューしてみる。
「手巻きずしってどこが作り始めたものでしょうね」
 幾人かの職人曰く。
「吉野じゃないの」
 日本橋にある『吉野鮨本店』だという人がふたり。
「あれは職人が食事なんかとる暇ないんで、賄いで自分用に作ったもんだろう」
 この答えが圧倒的に多かった。
東京都葛飾区立石『栄寿司』にて

 吉野鮨本店主人であった吉野ます(漢字がない)雄が表した『鮓・鮨・すし すしの事典』によると、戦前にもお客の注文があったという。
 これなら間違いなく『吉野鮨本店発祥説』が有力になってくる。
 でも『鮓・鮨・すし すしの事典』に書かれているのは「戦前にもときどき作っていた」という事実と、「昭和40年代(1965年から1975年)になってさかんに作られるようになった」ということだけ。
 どうやら「賄い説」と考えるのが正しいようだ。

 近所のスーパーにお散歩に出かける。
 すると手巻きずしセットなんてある。
 野菜など加わって、すぐに夕飯に使えるものがあるのだ。
 マグロ、イカ、エビ、玉子焼きにイクラ、そして養殖のブリなんかが加わり、野菜はレタスにキュウリとくる。
 なんて面白みのない取り合わせだろう。
 手巻きずしの醍醐味は多種多様自由自在に「巻く楽しみ」なのに。
 我が『寿司図鑑』でも新しい手巻きずしの世界を展開させてみよう。

吉野鮨本店
http://r.gnavi.co.jp/g195100/

栄寿司
http://www.katsushika.co.jp/sakae/