寿司図鑑 592貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

歯鰹揚げたたき/ハガツオ

はがつおあげたたき / ハガツオ
歯鰹揚げたたき/ハガツオ
握り

我が家の定番料理に〈揚げたたき〉というのがる。
 カツオ、ヒラソウダガツオ、スマ、ハガツオなどの脂がないものを、高温で揚げて、中ほどは生の状態というのを味醂(みりん)、醤油(しょうゆ)の地に漬け込むもの。
 脂のなさや旨味に欠ける、小振りのサバ類にもってこいの料理法なのだ。

 市場に和歌山県から大量にハガツオが入荷してきていて、鮮度的に“たたき”にするギリギリかなというもの。
 でもこの日はめぼしい魚がなく、しかも高価であったので、この極端に安いハガツオを買い求めてくる。

 この日は失敗が続く。
 まずは帰り着いた途端、本日仕事に向かう時間が普段よりも一時間早いことを思い出す。
 しかも、まだ雑誌『つり丸』の原稿を送っていない。
 後はひたすら、しかも大急ぎでやるべきことを片づけていく。
 その合間の〈揚げたたき〉作りである。

 ハガツオは鱗を取る必要もなく、皮もそのままでいい。
 とにかく三枚に卸して、骨を抜き、高温の油で素揚げ。
 ここで大失敗。
 〈揚げたたき〉を作る骨は油に腹を下にして滑り込ませないといけない。
 なのに背を下にして放り込んでしまったのだ。
 当然、粘質である皮がフライパンにくっつき油のなかで泳がない。
 後は無残なるかな。

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 これを漬けダレに漬けて深夜の酒のアテにしたら、「失敗の割りにうまいのである」。
 興味本位に『市場寿司 たか』に持ち込んでみる。
 なんども書いておくけど〈揚げたたき〉自体はうまいのだ。
 ただこびりついた分、皮目がきれいじゃない。
 それと少々揚げ時間を長く取りすぎた。

 店につくと相変わらずちょんまげ切り男がいて、仕事明けのいっぱいやっている。
 そこに差し出したのはいいけど、とにかく“けなす、けなす、ぼろくそ”に言うこと一分半。
 とにかく握ったものはうまかったのだ。
 少々甘めの種だけど、旨味成分の多いサバ科のハガツオだから旨味があるし、揚げた香ばしさもある。
「たかさん、ぼろくそに言うけどうまいじゃない。寿司はうまけりゃいいだろ」

borokuso0801708.jpg
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「バカ言うんじゃない。こんなものはネタとして失格。それにそんなにうまくもないだろ。芯まで火が通ってるだろ。揚げすぎだ」
「これだから素人は困るよな、たかさん」
 ちょんまげ切り男が勝手に脇であざ笑うのだ。

寿司ネタ(made of)

ハガツオ
英名/Striped bonito フランス語/Bonite oriental スペイン語/Bonito mono

ハガツオ
日本列島をはじめ、西太平洋・インド洋に広く生息している。現在はサバ科だが、古くはサワラ科の魚でサワラやイソマグロにより近く、身質も典型的な赤身であるカツオやマグロ類と比べると酸味が少なくよりサワラに近い。回遊性の肉食魚である。
多獲性魚類で・・・・
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