寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
白愚痴/シログチ
しろぐち / シログチ
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関東ではシログチと言ってもぴんと来ない。
あくまで「いしもち(石持)」である。
東京湾を代表する釣り魚のひとつでもある。
市場には定番的な魚がいくつかあって、例えば塩焼き用ではシログチはもっとも基本になるものだろう。
昨日のこと、八王子魚市場に愛媛から水氷(海水程度の塩分の水と氷の中に魚を入れて出荷してきたもの)を見て魚屋の主人の言葉が、
「イシモチを水氷にするのかね。珍しいね。保ちはこっちのほうがいいだろうけど、どうせ塩焼きにするなら下氷(箱の下に氷をしいて魚を並べる。シログチではこれが普通)でいいんじゃないの」
今回のものは下氷よりも少し高い。
下氷700円(キロ当たり)、水氷800円(キロあたり)で差額にして100円はボクのような素人にはどうでもいいことだけど、魚屋にとっては大きいのだ。
シログチと言えば、氷に並べてフタ無しで何段にも無造作に積み上げたもの。
塩焼き用の魚だから、安くもならないかわりに高くもならない。
しかもある一定量は売れるものだから手間をかけないのだ。
このような無駄ともいえそうな努力を惜しまない愛媛県(これ以上わからなかった)は偉い。
関東の魚屋が厳密に鮮度を考えないのは、刺身にしないせいだ。
あまり鮮度のいいシログチに出合えないので刺身のうまさを知らないと言うのもある。
この水氷のシログチが素晴らしいものだった。
身が硬くしまっている。
産卵期が晩春から盛夏なので卵、もしくは白子持ちかと思ったら、産卵後の個体のようでなにもない。
普通産卵後は肉質が落ちる。体力、栄養を使い切ってしまう。
そのために極度の空腹状態になるのだろう盛んにエサを食う。
体を元通りに回復させようとやっきになる。
だいたい魚というのは旬が産卵期前のものと、こうやって荒食いして身質が回復して栄養が体に回りきったときのどちらかをいうのだ。
今回はあきらかに後者である。
おろしながら、『市場寿司 たか』渡辺隆之さんが
「身に弾力があるよ、イシモチなのに珍しいね。でも脂はそんなにのってないね」
前回に、たかさんに握ってもらったのが三月後半の桜満開の頃。
そのときは脂がのって、トロのようであった。
ちなみにそのときのシログチは三浦半島でとれたもので、当然水氷のもの。
三月のシログチの握りへ
http://www.zukan-bouz.com/zkanb/susizukan/04/11.html
7月後半のシログチはやはり旬とはいえないもの。
でも白身としては充分に存在感がある。
「思ったより歯に弾力を感じるよな。シログチの味の個性って甘味かな、それもある。あとは脂だけど多少感じられるな。いい寿司ネタだよ」
「そうだね。アナゴの後にシログチを食べるなんていいかもね」
このシログチを幾人かのプロに食べさせたが、まさか塩焼き用の「イシモチ」だなんてわかるはずもない。
答えを教えなかったので、ひと晩考えて、結局わからないに違いない。
寿司ネタ(made of)
シログチ
Silver croaker
本州以南の沿岸域に群れを作っている。日本各地で揚がるが、以西底曳き網で大量に水揚げされていたことで有名である。大量に水揚げして練り製品・・・・
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