寿司図鑑 594貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

苛魚/イラ

いら / イラ
苛魚/イラ
握り

イラという魚、ときどき市場で見かけるのだけど手が出ない。
 だいたい一定の評価のない魚というのは仲卸でも値の付け方に苦労するのだろう。
 荷受けから安く買ったとしても、その安い値段で仲卸で店売りして売れるものやら、自信がないだろうし、売れ残る可能性は大いにある。
 そこで市場での値段がバラバラとなる。
 非常に安いと取り扱いが悪く、仕入れ値よりも遙かに値段を高くして変にきれいに飾っていると、これも嫌な感じだし。

 ボクとしては大型で鮮度のいいものはある程度高くていいと思っている。
 それだけの価値がある。
 逆に鮮度の落ちたもの、小さいものに価値はないとも思うのだ。

 さて、今回のものは和歌山県産のもので体長30センチ強、重さ1.2キロもある。
 鮮度も抜群にいいのでキロ当たり1000円は安すぎるのだ。
 八王子綜合卸売協同組合『マルコウ水産』にあったのを、安いと感じながら、それでも値切って買うのが私流である。

 これを三枚に卸して皮付きのまま、昆布締めにする。
 作り方は簡単至極。
 振り塩をして二時間。
 塩を洗い流して、昆布に包んで半日おいただけ。

 寿司職人の渡辺隆之さんには、この昆布締めの皮目をあぶって握っていただく。
 実はこれから秋にかけて、本種を含むベラ科、アオダイなどのフエダイ科など熱帯、亜熱帯、暖海系の魚を握りにする機会が増える。
 この多くが握りの種となったことのないものばかり。
 いうなれば握って食べると言うこと自体が冒険である。
 そのうまさ、まずさに一喜一憂する。
 今回のイラ、たかさんともども口に放り込んだ途端に笑顔になる。
 この喜びは、マグロなどの定番的なものを食べたとしても感じられるものではない。
 素晴らしい。
 皮自体、皮下にコクのある層があり、身はややモチモチしている。
 甘味がまず感じられて、旨味も充分にあり、全体の味わいが適度に複雑なので、殷々とうまさが続く。

 イラの産卵期は夏で、旬は産卵期とは関係なく冬だとばかり思っていた。
 なぜなら夏のイラにはなんどもイヤな思いをしているのだ。
 まことに魚を極めるというのは道通しなのだ、の感を強くする。

 たかさんがボードに「いら昆布締め」と書いている。
 振り向いて、
「売れなくてもいいね。ウチに持って帰りたいよ」
 これが、たかさんの最大の賛辞であることは間違いない。

寿司ネタ(made of)

イラ
Wrasse, Tuskfish

イラ
関東では珍しいというほどではないが入荷量が少なく、一般的な小売り店で売られているのことは少ない。大型で身に厚みがあるものの、知名度は低い。
バラ科のなかでもイラ属はとりわけ味がいいので、九州など産地では盛んに食べられている。関東などでも本種・・・・
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