寿司図鑑 623貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

黄めじのあぶり/キハダマグロ

きめじのあぶり / キハダマグロ
黄めじのあぶり/キハダマグロ
握り

九月の楽しみと言えば、沼津底引き網の解禁と、『たか嶋』の朝寿司だ。
 三か月ぶりの沼津、そこで待っていてくれるのが地元の甲殻類学者・飯塚栄一さんである。
 港で水揚げを見る。
 至って楽なことではないか? と思われるだろう。
 それが大間違いなのだ。

 沼津魚市場に到着するのが午前三時過ぎ。
 この時間にはすでに市内志下のトロール船が選別を始めている。
 床がユメカサゴで真っ赤に染まっている。
 そして競りが始めるのが五時なのだけど、定置網だの巻き網だの、磯漁だの、随時水揚げがある。
「あそこに定置網が着いたようです」
 地元の仲買が教えてくれると、わーっと走っていく。
「焼津の選別ですね」
 これにも小走りで向かう。
 ちょうど疲れの頂点となるのが七時前なのだ。

「そろそろ、たか嶋にでも行きましょう」
 飯塚さんの一声がうれしい。
『たか嶋』のカウンターに座ると、いつもの職人さんが次々に寿司を並べてくれる。
 そして、本日のお勧めに見つけたのが“黄めじのあぶり”である。
「黄」とはキハダマグロのこと。
「めじ」とは60センチ前後の若魚のことを言う。漢字にすると「目近」。
「思ったよりも脂がありましてね」

 のっている種が分厚い。
 口に放り込むとトロリと表面の脂が溶けていく。
 焼いているので香ばしく、また生の身の旨味も強い。
 実を言うとキハダの若魚はあまりうまくないとばかり思いこんでいた。
 まことに思い込みというのは絶対にしてはいけない。
「九月の黄めじはうまい」
 仲買の菊地利雄さんに聞くと、「今年は黄めじが大漁です」と教えてくれる。
 今年は黄めじを大いに食いたいものだ。

 飯塚さんと本日、大成丸(志下のトロール船)の船長からもらったヤサオキナエビを分ける。
 このエビの国内での発見者が飯塚さんなのだ。
「飯塚さん、今年も面白い生き物を探しましょう」
 午前九時、沼津魚市場を後にする。

たか嶋 静岡県沼津市千本港町115-3
http://www.kanko-numazu.com/norenkai/takashima.html
飯塚栄一さんの「飯塚さんの海の世界」へ
http://www.numazu.to/sea/

寿司ネタ(made of)

キハダマグロ
Yellowfin tuna, Ahi,Fr/Albacore,Sp/Rabil

キハダマグロ
古くからの産地である高知、三重、九州などが近い関西でよく食べられていたもの。大阪では「本ハツ」、「本ハツ」。マグロをさす「シビ」に本が冠せられている。これはクロマグロよりも漁場が近く、鮮度のいいものがふんだんに手に入ったためだという。
最近・・・・
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