寿司図鑑 647貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

柳葉魚/シシャモ

ししゃも / シシャモ
柳葉魚/シシャモ
握り

十年ほど前までは珍しかったシシャモの刺身が、ありふれたものになった。
 そんな気がする。
 なぜなら、市場でシシャモを選んでいると、「やっぱり刺身かねー」なんて近所の魚屋のオッサンが声を掛けてくる。
 荷を真横から見ると北海道は道南にある鵡川(むかわ町)産だ。
 水氷(氷水に魚を入れて出荷してきたもの)なので手が冷たいというよりも、痛い。

sishamo080922.jpg
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「お客にだしたらさ、初めて食べたって喜ぶんだよね」
 山梨のおすし屋さんも水氷に手を入れて話しかけてくる。
 三日連続で仕入れているという。

 『寿司図鑑』では年に数回シシャモを握って撮影する。
 今回のものは成熟の度合いが低く、白くてきれいである。
 『市場寿司 たか』に持ち込むと渡辺隆之さんが、
「水氷だって言ったっけ、いつもそうだっけな」
「違うと思うけどね。ウチの画像でも下氷(氷を下に敷き、上に魚をのせた荷)が多いしね」
「鮮度がいいよね。これ水氷のせいかもね」
「それはどうかな。去年の最後のヤツはちょっと黒っぽいっていうか、青黒かったでしょ。あれは成熟のすすんだ状態なんだよね」
「それってサケと同じこと」
「ボクはサケ目(シシャモはキュウリウオ科)の魚は全般に成熟度の低いのがいいと思ってるんだけどね」

 ほぼ一年ぶりのシシャモの握りは、銀皮がまばゆいくらいでとてもきれいだ。
「握ってて脂があるように思ったけど」
 口に放り込むと、まさにその通り、脂がのっているために、少しだけどトロっとする。
 鮮度の良さから、独特の風味は控えめだけど、旨味が強い。

「おいしいね、たかさん」
「うん、生の味だね」
「なんだ生って」
「干物じゃないってことさ」

 たかさんの持論は「シシャモは干物で食らうべき」なのである。
 「その通り」なのだけど、生で食べてもうまいじゃないの。

寿司ネタ(made of)

シシャモ
英名/Smelt, Shishamo smelt

シシャモ
北海道東部太平洋側だけでとれる生息域の狭い魚。サケの近い種の魚で同じように産卵回遊のために河川に上るときが漁期だ。
古くは産卵期、川がシシャモで埋まるほどとれたもので、比較的北海道など産地周辺で食べていたもの。
1970年代には確実に鮮魚が・・・・
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