寿司図鑑 646貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

ばってら/マサバ

ばってら / マサバ
ばってら/マサバ
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初めて歩く街、大阪都島で、すし屋を見つけて、とにかく入ってみた。
 ということなのだけど、「吾妻鮨」の暖簾をくぐるにはそれなりの、そしていくつかの理由があった。
 第一には店名の「吾妻鮨」が東京由来でありそうなこと。
 第二に、大阪ならではの「箱寿し」、「ばってら」などが握りずしと同居して店頭に見本としておかれていたこと。
 第三には、当たり前だけどチェーン店ではないということ。

 暖簾をくぐり、お茶などをいただき、最初にお願いしたのが「ばってら」である。
 「ばってら」にするか「箱寿し」にするか、迷った。
 それですしの種類としての「箱ずし」に関しては次回の大阪での課題としたいものだと、心の整理をつける。
 「ばってら」が念頭にあったのは数時間前に大阪中央卸売市場関連棟にいて、『鮓常』に立ち寄れなかったのが返す返すも心残りであったことに起因する。
 実はこの店、明治期には大阪順慶町(船場から島之内の中間にある町で筒井順慶にちなむ)にあったとき「ばってら」を生み出した店として有名なのだ。

 今でこそ大阪ずしの代名詞的な「ばってら」も、そんなに古いものではなく、明治27年から28年頃、その当時安かったコノシロ(成魚だと思う)を開いてすし飯にのせた。
 これを食べていた、お客が見た目が「舟」に似ているからオランダ語の舟である「バッテラ」と呼び出したのが語源となる。
 名前の面白さ、安いのとうまいので人気が出て、「ばってら」は大阪でもすぐによく知られるところとなったようだ。
 それがコノシロの不漁などで、マサバを使うようになり、また白板昆布(おぼろ昆布をけずって最後に残る透明感のある中心部)をかぶせるように変わっていく。
 マサバに昆布というと「松前ずし(さばずし)」となるのを、白板昆布を使い、箱ずしになったことで、本来の「ばってら」でもなく「松前ずし」でもない新しいすしが誕生したことになる。

 「ばってらずし」は四国ではお店で食べるものではなく、「お持ち帰りすし」という印象が強い。
 そのため「吾妻鮨」で真っ先に頼むときには勇気が必要だった。
 お店の方も、なんとなく怪訝な顔をしていたように思うけど、それは見知らぬボクのためなのか、それとも店内で「ばってら」を注文したためなのかわからない。

 出てきた「ばってら」は典型的なもの。
「今はあんまりサバがようないでしょ。できたら秋の方がええんやけど」
 薄い昆布の下に皮の色と、身の飴色がきれいに分かれて美しい。
 確かにマサバの脂ののりは今ひとつながら、甘酢につかった昆布、はんなりしたすし飯と一緒くたになって、味は絶妙としかいいようがない。
 いつ食べても「ばってら」はいくらでも食べらそうで、ある意味こわくなる。

 ボクが「ばってら」を初めて食べたのはかれこれ四十年以上も前。
 そのときの「おいしかった思い」と同じ思いが浮かんでくる。

堺魚市場寿司 堺市堺区栄橋町2-4-28

寿司ネタ(made of)

マサバ
Chub mackerel

マサバ
古くは大衆魚、下魚などとされ、安くてうまい魚の代名詞だった。鮮魚としても加工品としても、魚のなかでももっとも重要なもの。古代には「なれずし」が作られ、江戸時代には塩さばや干しさばが広く流通した。塩さばは、「お歳暮」の起源となった。
これが資・・・・
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