寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
薬師神かまぼこの「鯖寿司」
やくしじんかまぼこの「さばずし」 / マサバ
握り nigiri軍艦巻 gunkanmaki海苔巻 Norimaki丼・ちらし Don/Chirashi郷土ずし Kyoudozushiなれずし Narezushiいずし Izushiいなりずし Inarizushiその他 Others
ボクが生まれたのは四国徳島の片田舎である。
明らかに徳島県というのは大阪文化圏の影響下にあった。
だから子供の頃、たまにみぎれいにして、山奥の町から市内などに連れて行かれる。
市内に住む叔母の家を尋ねてデパートめぐりなどする。
その帰り道にバッテラを買ってもらうのが楽しみだった。
徳島ならではの、「姿ずし」というのもあったが、バッテラの魅力には勝てなかった。
高校を卒業して東京に住まいするようになって、大阪で初めて出合ったのが「棒ずし」。
ボクの記憶をどのようにたどっても、初めて「棒ずし」を食べたのは、大きくなってからのこと。
「棒ずし」というのはサバ、小ダイなどをやや甘めに酢締めにして、これまたややはんなりした酢飯にのせて、短い角材状にしたもの。
その洗練された形や味わいに、バッテラの影は薄くなり、ボクは「棒ずし」の虜になってしまう。
当然四国東京の往復には必ず京都・大阪に立ち寄り、もちろん「棒ずし」を買うのが定番となる。
とても残念に思うのは東京でなかなかうまい「棒ずし」に出合わないことだ。
きっとかの「デパ地下」に行けば、手にはいるのだろうけど、あの空間が好きになれない。
暑さゆるむ秋口に愛媛県宇和島の「薬師神かまぼこ」から送られてきたのが「鯖寿司」である。
竹の皮に和紙のラベル、これがなんとも洗練されている。
宇和島は江戸時代には伊達家の城下町、海を控えて漁業の町であった、より以上に文化を愛する地であったようだ。
なんて、いろいろ考えを巡らせて、またよくよく考え抜いてみると、そんな宇和島の歴史とはなんの関係もなく、薬師神さんのもつ「趣味の良さ」がこの包装に現れているのだと思い至る。
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外見に、ワクワクしながら竹の皮を開くと、中には見事なマサバの「棒ずし」が入っている。
生唾を飲み込んでしまって、脇を見ると子供達の目線が強く感じられる。
「父ちゃん、早く食べようよ」
食卓に出してから、いったい何分間これが存在したのだろう。
あっという間に消えてしまって、じっくり味わう暇もなかったのだ。
しかし、8月終わりのマサバって、こんなにうまいものだったろうか?
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押し固められた寿司飯とあまり変わらないくらいの、マサバの身からジワリと脂の甘味が染み出してくる。
脂だけではなく、マサバの旨味成分からくる甘味も感じる。
マサバのうまさに加えて、寿司飯には青じそなど、ラベルの色ごとに風味づけがしている。
ひとりだけじっくり味わっていたら、すでに「鯖寿司」は食卓にはなかった。
ボクはたったの三切れしか食べていない。
それでも末娘が「ほとんど食べてない」と脇で泣いているのだ。
まことに薬師神さんところの「鯖寿司」というのは困った存在である。
とにかく後を引くほどにうまい。
「薬師神かまぼこ」さんは店名通りに練り製品の加工販売を行っている。
名物は「じゃこ天」、それに地魚を使った蒲鉾などである。
そのひとつひとつが、とても魅力のある味わいなのだけど、それと同じくらいにうまい「棒ずし」を作るんだな、とわかった次第である。
2006年9月1日のメモをもとにして
薬師神かまぼこ
http://www.yakushijin.jp/
寿司ネタ(made of)
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