寿司図鑑 628貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

薬師神かまぼこの「鯖寿司」/マサバ

やくしじんかまぼこの「さばずし」 / マサバ
薬師神かまぼこの「鯖寿司」/マサバ
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ボクが生まれたのは四国徳島の片田舎である。
 明らかに徳島県というのは大阪文化圏の影響下にあった。
 だから子供の頃、たまにみぎれいにして、山奥の町から市内などに連れて行かれる。
 市内に住む叔母の家を尋ねてデパートめぐりなどする。
 その帰り道にバッテラを買ってもらうのが楽しみだった。
 徳島ならではの、「姿ずし」というのもあったが、バッテラの魅力には勝てなかった。
 高校を卒業して東京に住まいするようになって、大阪で初めて出合ったのが「棒ずし」。
 ボクの記憶をどのようにたどっても、初めて「棒ずし」を食べたのは、大きくなってからのこと。
「棒ずし」というのはサバ、小ダイなどをやや甘めに酢締めにして、これまたややはんなりした酢飯にのせて、短い角材状にしたもの。
 その洗練された形や味わいに、バッテラの影は薄くなり、ボクは「棒ずし」の虜になってしまう。
 当然四国東京の往復には必ず京都・大阪に立ち寄り、もちろん「棒ずし」を買うのが定番となる。
 とても残念に思うのは東京でなかなかうまい「棒ずし」に出合わないことだ。
 きっとかの「デパ地下」に行けば、手にはいるのだろうけど、あの空間が好きになれない。

 暑さゆるむ秋口に愛媛県宇和島の「薬師神かまぼこ」から送られてきたのが「鯖寿司」である。
 竹の皮に和紙のラベル、これがなんとも洗練されている。
 宇和島は江戸時代には伊達家の城下町、海を控えて漁業の町であった、より以上に文化を愛する地であったようだ。
 なんて、いろいろ考えを巡らせて、またよくよく考え抜いてみると、そんな宇和島の歴史とはなんの関係もなく、薬師神さんのもつ「趣味の良さ」がこの包装に現れているのだと思い至る。

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 外見に、ワクワクしながら竹の皮を開くと、中には見事なマサバの「棒ずし」が入っている。
 生唾を飲み込んでしまって、脇を見ると子供達の目線が強く感じられる。
「父ちゃん、早く食べようよ」
 食卓に出してから、いったい何分間これが存在したのだろう。
 あっという間に消えてしまって、じっくり味わう暇もなかったのだ。
 しかし、8月終わりのマサバって、こんなにうまいものだったろうか?

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 押し固められた寿司飯とあまり変わらないくらいの、マサバの身からジワリと脂の甘味が染み出してくる。
 脂だけではなく、マサバの旨味成分からくる甘味も感じる。
 マサバのうまさに加えて、寿司飯には青じそなど、ラベルの色ごとに風味づけがしている。

 ひとりだけじっくり味わっていたら、すでに「鯖寿司」は食卓にはなかった。
 ボクはたったの三切れしか食べていない。
 それでも末娘が「ほとんど食べてない」と脇で泣いているのだ。
 まことに薬師神さんところの「鯖寿司」というのは困った存在である。
 とにかく後を引くほどにうまい。

「薬師神かまぼこ」さんは店名通りに練り製品の加工販売を行っている。
 名物は「じゃこ天」、それに地魚を使った蒲鉾などである。
 そのひとつひとつが、とても魅力のある味わいなのだけど、それと同じくらいにうまい「棒ずし」を作るんだな、とわかった次第である。

2006年9月1日のメモをもとにして
薬師神かまぼこ
http://www.yakushijin.jp/

寿司ネタ(made of)

マサバ
Chub mackerel

マサバ
古くは大衆魚、下魚などとされ、安くてうまい魚の代名詞だった。鮮魚としても加工品としても、魚のなかでももっとも重要なもの。古代には「なれずし」が作られ、江戸時代には塩さばや干しさばが広く流通した。塩さばは、「お歳暮」の起源となった。
これが資・・・・
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