寿司図鑑 1433貫目

富山県、城端別院善徳寺「鯖ずし」

とやまけんじょうはなべついんぜんとくじさばずし /
富山県、城端別院善徳寺「鯖ずし」
なれずし Narezushi

価格ランク

やや高級

砺波平野の奥にある寺と絹織物の町

城端は富山県の西の端、砺波平野のいちばん奥まったところにある。
町は真宗大谷派の大寺院である、城端別院善徳寺の門前町だ。
福井県から石川県、富山県にかけて浄土真宗の盛んなところで、その寺を中心に生まれた町でもある。
散居村で有名な平野に市街地を形成し、美しい建築物がそこかしこに見られえる。
大寺院なのに城端別院善徳寺は町の方達に愛されているのも素晴らしい。

5月には享保年間にまで歴史をたどれる豪華な城端曳山祭がある。
宗教的な地味な面と、華々しい、派手やかな面が共存してもいる。
国内でももっとも美しい町のひとつである。

富山県南砺市城端『真宗大谷派 城端別院 善徳寺』で7月22日から28日に行われるのが「虫干法会」である。
説話のあとの「お斎(おとき)」に出されるものが「鯖ずし」である。

麹を使ったすし地帯に長年造られ続けている、なれずし


福井県、富山県は漬け込みに麹を使った飯ずし(漬物ずし)地帯である。
寒冷な地域ではご飯と魚だけでは乳酸発酵が進まない。
それを麹が補っているのである。

実際、同南砺市井波には、こちらも大寺院である、井波別院瑞泉寺があり、夏の太子伝会のときに、「さばずし」が提供されている。
ただし、こちらはご飯と米麹が使われているなど、純粋な意味での「なれずし」ではなく、むしろ「飯ずし」とすべきだ。
また砺波平野にはサバだけではなく、ニシンなど様々な米麹を使った飯ずしが存在する。

そんななかなぜか真宗大谷派 城端別院 善徳寺だけが、炊いたご飯だけを使った「なれずし」が作られているのだろう。
さて、「鯖ずし」は5月に3日間ほどかけて塩漬け、塩抜きをして炊いたご飯と山椒の葉で漬け込む。
これを7月22日から28日に行われる「虫干法会」に振る舞われる。

広間に信者が並んで御斎を食べる


真宗大谷派 城端別院 善徳寺で、説話を聞いた後に配られるのが「鯖ずし」である。

漬け込み期間が2ヶ月ほどと短い


「鯖ずし」は比較的発酵が浅く、発酵臭も弱い。
くせのない味わいで、意外に誰が食べても、おいしく食べられるものだ。

協力/松平保夫さん、山口誠さん

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