寿司図鑑 645貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

赤目河豚/アカメフグ

あかめふぐ / アカメフグ
赤目河豚/アカメフグ
握り

フグの季節が近づいてきた。
 市場にはトラフグはもちろん、ヒガンフグ、ショウサイフグ、マフグなどが並んでいる。
 どれもこれも「うまそうに」だ。
 さて、シーズン直前ということで過去のメモからフグ科のものをいくつかとりあげる。

 最初に登場するのはアカメフグだ。
 気をつけなければならないのが、築地をはじめ関東の市場で「あかめふぐ」というとヒガンフグであることが多い。
 まず十中八九、「あかめふぐ=ヒガンフグ」のことだろう。
 今回のものは標準和名のアカメフグなのであり、静岡県沼津港にあがった活け。
 まだ泳いでいるのを、影じめ(見えないところから脊髄を断ち切って、血抜き)した。
 帰宅して、フグ調理師に毒の除去をお願いする。
 三枚に卸す身がまだヒクヒクうごく。
 これを刺身にしたらうまくもなんともない。
 薄造りにしても硬くて、旨味がないのだ。

 これを布巾にくるんで、翌日『市場寿司 たか』に持ち込んだ。
 面白いのは、ネタの切り付けをすると、身がブワっと盛り上がる。
 これも筋肉による一種の反発というものか。
 撮影している間に、たかさんが先に刺身の試食をする。
「刺身がうまいね。思った以上に硬いけど、味があるね」
 すぐに自分の分も握ったら、黙っているのだ。
「なんか言ってよ」
「なんか……」
「うまいの」
「……」
 うんうんとうなずいております。

 続いて、ボクも一個、二個、三個と無言で食らう。
「どうせ客に出せないしね」
 片身全部をふたりで食べてしまって、やっと人心地ついた。
 なんというのだろう。
 旨味が強いわけじゃないし、脂があるわけじゃない。
 フグの身は適度に歯を跳ね返し、適度に噛み切れる。
 すし飯との馴染みは悪いけど、そこにフグ独特のとしかいいようがない旨味が浮かんでくる。
 これが殷々と続き、さっと消える。

 アカメフグの旬とはいつだろう。
 たぶん冬だろうね。
 でも五月のアカメのなんとうまいことか。
 これでは寒に食べたら、どうなるんだ!

寿司ネタ(made of)

アカメフグ
Red-eye puffer

アカメフグ
関東ではヒガンフグのことを「あかめふぐ」というので注意した方がいい。
福島県〜高知県の太平洋沿岸の浅場に生息するが、漁ではめったにあがらない。まれに定置網などで揚がっても廃棄されることが多い。食用フグで、フグの取り扱いができるなら取り扱える・・・・
市場魚貝類図鑑で続きを読む⇒

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