寿司図鑑 649貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

黍魚子

きびなご / キビナゴ
黍魚子
握り

価格ランク

やや高級

 9月、市場で鮮度抜群、きらきら輝くキビナゴを見つけた。
 あまりにきれいなので仲卸で産地を聞くと高知産だという。
 これは買わない手はない。しかし待てよー。
 産卵は初夏とするとまだ時期が早すぎるだろう。キビナゴに脂がのってくるのは冬になってから。まだまだ蒸し暑い、今日この時季に買っても仕方ないだろう。

 諦めようと、背を向けるや、
「どうしたの、買わないのかよ。オレと半分にしようよ」
 近所の居酒屋のオヤジから声がかかる。
 浅い発泡一箱で800円だから、「わかったよ。じゃあ400円ね」、と消費税はお任せする。

 これをその場で手開きにして、『市場寿司 たか』に持ち込む。
 たかさん、数本手にとって、
「キビナゴだねーー」
「キビナゴだけど」
「オレ、あんまり好きじゃないな。キビナゴって、キビナゴの味がするだろ」
「当たり前だ。それって、個性があるってことでしょ。だいたいキビナゴにはイヤなクセもないし、淡白じゃない」
「その淡白なところが嫌いなんだ」
「わからんなー」

 とにかく適当に手開きさいたものを少々手直しして握ってもらう。まことに美しい。  
 しかしプツっとした食感はいいものの旨味は薄い。あんまりうまくない。このあたり魚の旬というのは難しい。
「食感だけでだまされてしまう人もいそうだ。しかし、けっしてうまいもんじゃない。たかさん、これは、キビナゴの旬を追いかけてみるしかないね」
「オレはどうでもいいけどね」
 どうやら関東のすし職人って、キビナゴに関しては無関心であるらしい。

寿司ネタ(made of)

キビナゴ
Banded blue sprat

キビナゴ
鹿島灘・山陰隠岐以南の暖流域の沿岸域に小さな群れを作る。漁業的には伊豆半島以西で、水揚げ量が多いのは九州である。紀伊半島、四国、九州各県では名物になっている。カタクチイワシやウルメイワシなどと比べると漁獲量は少ないものの、味のよさからあまり・・・・
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