寿司図鑑 666貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

蟹きゅう/タカアシガニ

かにきゅう / タカアシガニ
蟹きゅう/タカアシガニ
海苔巻

内房からきたタカアシガニなら底刺し網に違いない。

これは東京湾に刺し網を投入している模様

ある朝のこと、ボクはよれよれに疲れて、やっと『市場寿司 たか』にたどり着いた。
そして我が家で蒸し上げたカニを、たかさんに手渡す。
「たかさん、これで蟹きゅうを作ってよ」
「きゅうりないよ」
「じゃあ、買ってくるから」

店に戻ったら、蟹食い男のたかさん、さっそく持ちこんだバラケをつまみ食いしている。
「まずくはないね。でもタラバからするとうまくないな。アブラかな」
「なんだと思う」
「わかんねー」
 この人の記憶力もたいしたことない。
「タカアシガニなんだけど」

今回のものは東京湾であがったもの。
荷(カニ)は竹岡から来ているけど、たぶん水揚げ港は金谷に違いない。
東京湾内房からは深場に落とし込む底刺し網漁の船が出ている。
ねらいはアカザエビなんだけど、タカアシガニもとれる。
千葉県では他に外房にもタカアシガニのとれる港がある。

前回タカアシガニの足の部分を握ってもらっている。
それで今回は甲羅下のバラケ(せせり取った身)を持ってきたのだ。

何も言わないで、たかさんが出してきたのが、軍艦にきゅうりとカニ。

これあまり好きじゃないのだ。どうにもわざと目立たせるようなやり方が嫌い

実を言うと、これ嫌いなのだ。
「たかさん、これ回転寿司で回るヤツでしょ」
「わかった。うちもときどきやるよ。いやなの?」
「なんだか無理矢理豪華に見せようって感じで、あんまり好きじゃないな。普通に鉄砲(細巻き)にしてよ」

takateppou081010.jpg
これが“かにきゅう”である。
カニの身は薄皮は赤いけど、ほとんどの部分が白。
すし飯の色と混ざり合って見た目は弱い。
軍艦で盛り上げたい気持ちはよくわかるけど、味はこっちの方がいい。
あえて言えば上品である。

軍艦のカニ、きゅうり、すし飯がてんでばらばらなのと違って、この軽さ、一体感がいいのだ。
それこそいくらでもいける味になっている。
どうもこの軽さはきゅうりから、そしてタカアシガニの身はちゃんと甘くて旨味も強いのだ。

「たかさん、タカアシガニは大味だって言うけど、うまいでしょう」
「そうだね。これ蒸しただろう」
「そう、ゆでたら絶対にダメだね」

 仕事が忙しかったり、体調が悪いと、どうにも朝ご飯が喉を通らないときがある。
 ボクはそんなとき、軽く細巻きを食べることにしているのだけど、“かにきゅう”なんて最高にいい。
 ちなみにタカアシガニは決して高いカニではない。
 タラバガニの半値以下、ときに遙かに安く手に入る。
 このカニも東京湾・江戸前の味覚なのだから、多くの方に一度味わって欲しいものである。

寿司ネタ(made of)

タカアシガニ
Japanese giant clab

タカアシガニ
足の長さまで含めると4メートル近くにもなり、世界最大のカニ。17世紀ドイツの博物学者ケンペルが、巨大なハサミを静岡県由比で見つけてヨーロッパに紹介したことは有名。テミングがシーボルトが持ち帰った標本をもとに記載したとなっているが、実際に整理・・・・
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