寿司図鑑 667貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

アカガレイ

あかがれい / アカガレイ
アカガレイ
昆布締め
握り

赤鰈騒動記
八王子魚市場で見つけたアカガレイに『ト印水産』とあり住所が北海道八雲町とある。

それで地図を見ると函館の真北にあってカニで有名な長万部も八雲町なのがわかる。
臨む海は内浦湾。
市場では内浦湾と呼ばないで噴火湾という。
八雲町は噴火湾の西側半分を占める町。
そこからやって来たのがアカガレイである。
このアカガレイ、ちゃんと締めてあるのが珍しい。

煮つけ用といった概念があるので市場に来るものはほとんど「野締め(漁の時に死んでしまったもの)」だ。
締めたアカガレイはあまり見たことがない。
「珍しいね」
キロ当たり1800円と聞いて迷っていると、近所の魚屋のオヤジ達が寄ってくる。
「なにかい。締めてるって事は刺身用なのかね。アカガレイを刺身にするってのは聞かないな」
秋から冬、そして早春にかけての子持ちアカガレイで、500グラム強というのは、それなりに値がつく。
そして目の前にある700グラム、800グラム級なら“のじ(野締め)”でも1200円(キロ当たり)くらいだろう。
活け締めにして600円以上高いアカガレイを「買うべきか、買わざるべきか?」。
「買ってみなよ」
近所の魚屋オヤジが「買え、買え」というので勢いつけて計りに乗せる。
やはり800グラムはある。

これを『市場寿司 たか』に持ち込むと、たかさんが首をひねる。
おろしながらさかんに首をひねりひねり。
「身が柔らかいぞ」


膨らんだ腹からは大きな真子、そして肝も大きい。
背の方裏表まな板に並べてみて、指で押しながら、
「やっぱり“まこ(マコガレイ)”なんかとは身質が違っているようだね。よく説明できないけど、水っぽいと言うのでもないねー」

とにかく握ってもらったのだが、残念なことにあまりうまくない。
これは締めたとはいっても北海道から東京までの距離(時間)の問題なのだろうか?


アカガレイの握りを食べながら考えた。
「これは昆布締めの方がいいんじゃない」
たかさん、このところ何でも昆布締めにしろって五月蠅いのだ。

持ち帰って、振り塩一時間。
水洗いして日高昆布に挟み込む。
半日ひと晩寝かせて、もう一度たかさんに握ってもらう。

昆布締めを食べて、すぐにたかさんの顔がほころんだ。
「これはうまい。アカガレイの持ち味はなにかといわれると…、わからないけど、昆布締めにしたらうまいね」
この握りは絶品である。
昆布の旨味を素直に染みこませて、いい味わいに出来上がっている。
<写真挿入5>

ただし「アカガレイの味ってなんだろう」な。
白身魚の昆布締めで、とてもうまいのだけど、アカガレイである必要があるのだろうか?
このあたりが難しい。

自宅でアカガレイのアラ、真子、肝を煮つけたのだけど、こちらは文句なく素晴らしい味だった。
生で食べると旨味を感じないものが、煮ると大変身する。
やはりアカガレイは火を通して食べるべきなのか?

寿司ネタ(made of)

アカガレイ
Flathead flounder

アカガレイ
比較的冷たい海域にいる大型のカレイである。日本海、東北、北海道でまとまってとれ、古くから関東では庶民的なカレイだった。食堂になど入ると少し高いが奮発して「アカガレイの煮つけ」、ということもあった。
定番的な魚なので家庭にもしばしば登場してい・・・・
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