寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
北帰貝/ホッキガイ(福島産)
ほっきがい(ふくしまさん) / ウバガイ
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ほっきがい(ウバガイ)は北海道ものは高く、本州太平洋側、三陸から茨城にかけては安い。
北海道室蘭や苫小牧産は真っ黒で重々しく、福島産は薄茶色で見た目が軽い。
貝殻を見るだけで、産地も値段がわかってしまう。
その上、貝殻を剥き、基本的に軽くゆでるのだけど、そのゆであがったときの色合いまで違う。
この色の違いが値段の違いでもある。
ほっきは足の部分を食べる。
足は貝殻の中におさまったいちばん大きな塊であって、筋肉質でよく動く。
これを開いて、湯通しすると、先端部分が紅色に染まる。
三陸福島ものは、この紅が薄いのだという。
朝方、八王子魚市場に回ったら、貝やこはだなんかを扱っている、あんちゃんが「ほっき」をゆでている。
貝を扱わせたら、本場浦安生まれ船橋育ちであるあんちゃんの右に出るものはない。
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当然ゆであがった「ほっき」は見事なものだ。
「ちょっと赤(紅)が薄いけどな、これ(福島の荷)だからな、こんなもんだろ。買っていきなよ」
6枚で600円だけど、これは元値と手間を考えると安い。
あんちゃんの「ほっき」を、たかさんに握ってもらうのも一興ではないか。
八王子魚市場から八王子総合卸売センター『市場寿司 たか』までは5分とかからない。
すぐに、たかさんに手渡し、10分足らずで握りになって出てくる。
このあたりが八王子の市場のよさだろう。
「ほっきはね。大き過ぎてね、握りにするのが意外に難しいんだよ。これもそうだね。一個一かんじゃとても無理だろ」
「そうだね。あれ、こんなの入ってたんだ。さすがにあんちゃんやることにそつがないね」
6個並んだ足の下に貝柱ひも、水管が隠れていた。
足とともに握ってあるのだけど、これがすし屋で出てきたらうれしいだろう。
ほっきの握りは淡い甘味があって、そこに貝独特の匂いがある。
そして貝柱や水管の方は、これまた別種の食感があって、こちらも旨味甘味がほどよい。
あんちゃんのゆで方がうまいのか、ほどよく軟らかくてすし飯との相性もいい。
「オレはほっきはあまり好きじゃないな。青柳(バカガイ)のような香りがないだろ」
「でも逆に考えると万人向きってことだね」
「そういやー、昔はほっきなんてなかったんだよ。これ初めて見たのはいつ頃だろう」
「たかさんは職人になって35年くらいだろ。(19)70年代半ばだね。その頃はなかった」
「この辺(多摩西部)になかっただけかな。築地に仕入れに行っている、すし屋もあったけど見ていないんだよな」
いったい、ほっきが関東に入荷し始めたのは何時頃なんだろう。
福島県なら決して遠くない。
たかさんが知らなかっただけだろうか?
こんなことを調べるのも面白そうだ。
さて、市場を歩いているとうまいものがたくさん隠れている。
それを探し出すのがまた楽しいのである。
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