寿司図鑑 711貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

松江市内『大鯛寿司』の十二かん、その七鰺/マアジ

あじ / マアジ
松江市内『大鯛寿司』の十二かん、その七鰺/マアジ
握り

カンパチはネタが小さくても、舌に点として印象を残している。
 次に間髪入れずにやってきたのがマアジである。
 アジ科、アジ科と続いたことになる。
 同じ系統の素材を続けない方がいいのではないか?
 そんな評論家めいた思いが浮かんだが、口に放り込んでそんな「わかりやすい解説的な考え」が恥ずかしくなる。

 マアジの産地はわからないが近場である可能性が高いだろう。
 ずばぬけた鮮度であることは一瞬にして見て取れる。
 でも秋のマアジがうまいか、というと疑問だ。
 ここでいう「疑問」は日本海西部の最盛期のマアジと比べて、味が落ちているだろうということだ。
 山陰島根の春から夏のマアジのうまさは、筆舌に尽くしがたい。
 特に今年は島根のマアジを食べて食べて、食べ尽くしたが、未だにあのうまさ、脂の甘さの残像に悩まされている。
 そして黄金の日々が終わって、ややマアジの低調な時期となっている。
 かといって島根の秋のマアジがまずいわけではない。
 平凡だ、といいたいだけだ。

 盛期を過ぎたマアジに、一工夫して小ねぎをのせ、それを白板昆布でおおっている。
 透明感のある昆布に透けて見えるねぎの青味がきれいだ。
 マアジの旨味はやや控えめだろう。
 そこに白板昆布とねぎが加わって、ここに味わいとして完成度の高いものとなっている。

 初めての店で、作り込んだ握りに出合い、やっとその真の味を楽しめるようになったのだ。
 ここに『大鯛寿司』のすしのあり方は、これでいいのかもしれないという思いが浮かぶ。

大鯛寿司 島根県松江市東奥谷町361-9

寿司ネタ(made of)

マアジ
Japanese horse-mackerel, Japanese jack mackerel

マアジ
単に「アジ」はマアジだ。魚類学的にアジ科で「アジ」がつくものは「アジ」という人がいるが、一般的な話ではない。流通上も「アジ」とはマアジである。
北海道〜九州までの沿岸域、非常に浅いところから水深100mまでで群れを作る。
アジ科には多数の食・・・・
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