「市場寿司 たか」で試行錯誤した新しい寿司ネタ、定番の魚貝類から各地の郷土料理や我が家の寿司まで種別に公開しています。現在めざすところは1000種のネタ図鑑にすることとし、市場と日本の水産物の可能性を試す。また地方での寿司というものを取り上げて我が国の「寿司」「鮨」「すし」のことを理解していきたいと思っている。
寿司図鑑 本巻
寿司図鑑 雑記
| 本巻719貫 | 築地『玉八商店』の厚焼玉子 |
2009年1月19日 |
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江戸前ずしになくてはならないもの。
当然、ひとつはマグロ類ということになる。
ところがそれ以上に絶対に必要となるのが玉子焼き(卵焼き)なのだ。
玉子焼きのない、すし屋はまずないに違いない。
玉子焼きで、「その店の実力がわかる」なんてこともよく言われる。
ただし、最近では自家製の玉子焼きを造るすし屋が少なくなったそうだ。
じゃあどうするのかってえと、河岸とか専門店で買うことになる。
特に市場で売っているのを「河岸玉」と呼ぶ。
あんまり、すしの世界ではいい言葉とはいえないもので、
「河岸玉を使うなんざーすし屋として名折れだ」
なんてことを言う通の方もいるらしい。
例えばわが『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんも早朝に店に来て、せっせと玉子焼きを作っている。
その八王子総合卸売センターにだって玉子焼きの専門店があり、惣菜を売る仲卸に市販の玉子焼きのない日はないのだ。
じゃあ、河岸玉の味見をしてみたいと思って、その初っぱなが築地『玉八商店』のものだ。
この店の前は何度も何度も数え切れないほど通っている。
たぶん何度か買ったことがあるはず。
ボクは河岸玉の甘さがきらいなのだが、家族は大好きだ。
買いましたるものが厚焼玉子の小590円。
普通厚焼きというと魚などのすり身が入った玉子焼きを言う。
それが魚のすり身は入っていなくて、その代わりに砂糖、味醂、カツオ節などが加わっている。
厳密に分類すると出汁巻き玉子の一種とすべきだろう。
まずは自宅でただただ食べてみる。
予想外に甘い。
でも、関東のものとしては甘みの薄い部類かもしれない。
ちゃんと卵の風味が生きていて、硬さも、やや硬めのボリューム感のあるもので、理想的である。
ただし、自宅でいただくのは半切れで充分。
我が家の姫などにはやはり好評で、「甘い」は「うまい」のかも知れないと思うのだ。
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たかさんにも味見してもらう。
それから握りに仕立てて、これまた味見。
握りにすると、この甘みがちょうどいい。
例えば持ち帰りのすしに載っている玉子焼きとは別格のうまさに思える。
すしにしてここまで旨いとは予想外だ。
「これはいい玉子焼きだね。うちの(妻)がこの手の玉子焼きすきなんだよな」
「すし用の玉子焼きとしてはどう」
「ウチのは一人でやってるから、つまみ用(玉子焼きだけで食べる)と握り用が一緒だろ。別々に作るんだったら、こんな味に作ると思うよ。握り用には、ね」
「そんなにほめるんなら。河岸玉にかえればいいじゃない」
「それは違うだろ。オレは玉子焼きを買ってくるようじゃダメだと思ってるんだ」
あまったものを『市場寿司』で出すわけにもいかない。
残りは「うちの(妻)」に贈呈することになった。
玉八商店
http://www.tamahachi.com/