寿司図鑑 739貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

このしろすし

このしろすし / コノシロ
このしろすし
握り

価格ランク

並

姫路市大手前通りにある『すし宗』の外観には、まずもって驚く。
 どうやったらこのような品のない店舗ができるのか、不思議としかいいようがない。
 ところが店内にはいるといたって平凡な良識的な造りなのだ。
 ここに入った目的のひとつが「このしろすし」。
 大阪すしに「このしろすし」を加える形で注文する。

 出てきた「大阪すし」はまことに端正で美しい。
 その一角に隠れるように「このしろすし」があり、これもなかなかきれいなのだ。

 すし飯はやや大きめ、 前部が大きく、後部がすぼまり加減となっている。
 酢で締めたコノシロにばってら昆布、内側には薄切りのすだちが挟んでいる。
 よく見るとコノシロは背の厚い部分を半分に開いている。
 これは姫路駅地下街魚で見たものと同じに思える。

 ちょっと豪勢にすら見えるのを丁重に口に放り込む。
 コノシロの酢締め加減は強めで塩味はほどよい。
 でもコノシロをゆっくり味わうよりも、むしろばってら昆布の風味が上がり、それ以上にやや軟らかめのすし飯が口を満たす。
 すし飯ははんなり甘口で、軟らかいので、大阪すしに使っているものと同じと見た。
 やはり握りには、この関西風のすし飯は合わない。
 とは思うものの、関西らしい握りで、それはそれでいい、とも思える。
 うまい、まずいと聞かれれば「うまい」と答えてもよさそうだ。

 『すし宗』に季節の「鮓(すし)」というのがあった。
 春にサワラ、夏にアユ、秋にコノシロ。
 サワラは平凡だが、夏になるとアユを使うというのが面白い。
 そして播磨でコノシロ。
 周辺の魚屋に酢漬け用のコノシロが並んでいた。
 そして『すし宗』の季節のすしとなっている。
 姫路ではコノシロを好んで食べるのだ、と考えても間違いはなさそうだ。
 でも瀬戸内の魚は多彩で、特に小魚を珍重する傾向が高い。
 そのなかでのコノシロの位置関係はいかがなものだろう。
 
[すし宗 兵庫県姫路市南町58
]http://www.sushi-hyogo.or.jp/susiya/himeji/sushisou.htm

寿司ネタ(made of)

コノシロ
Dotted gizzard shad

コノシロ
日本各地の浅い内湾、汽水域に群れを作る。古代からの食用魚だ。
本種の若魚「こはだ」は東京では江戸時代以来、江戸前を代表する「光りもの」である。本来は江戸時代、握りずしの種を色合いと、酢でしめるという仕事をほどこす魚という意味合いから生まれた・・・・
市場魚貝類図鑑で続きを読む⇒

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