「市場寿司 たか」で試行錯誤した新しい寿司ネタ、定番の魚貝類から各地の郷土料理や我が家の寿司まで種別に公開しています。現在めざすところは1000種のネタ図鑑にすることとし、市場と日本の水産物の可能性を試す。また地方での寿司というものを取り上げて我が国の「寿司」「鮨」「すし」のことを理解していきたいと思っている。
寿司図鑑 本巻
寿司図鑑 雑記
| 本巻765貫 | 紅鮭いずし/ベニザケ |
2009年5月10日 |
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日本海側、北陸、東北、そして北海道と旅に出る。
市場などで目に飛び込んでくる、その土地ならではのものは数知れずある。
だたし、共通するものは少ないようにも思えるのだ。
共通する食料品といったら、「飯ずし」くらいだろうか?
例えば石川県では大根ずし(身欠きニシン)、蕪ずし(ブリ)からはじまって、北に向かうと多様な魚が「飯ずし」の原料となる。
カレイ、サクラマス、サケ、ハタハタ、ホッケにサバ。
野菜のナスなども「飯ずし」になる。
「すし」の歴史は紀元前にさかのぼれるだろう。
本来、とった魚などを保存する一手段であった。
まとまってとれた魚に塩をする、塩を抜き、ご飯と合わせて漬け込む。
ほどなくご飯の糖分で酢酸発酵が始まる。
酢酸は細菌中最強の存在なので、腐敗などを防止するとともに「酸っぱくて、旨味のある料理」=「なれずし」となる。
ただし東アジアのモンスーン地帯で誕生した「なれずし」には夏の高温がかかせない。
高温であることで酢酸菌が増殖し、魚が熟成、すっぱくなる。
東北から北海道に「飯ずし」が多いのは、寒冷であるために酢酸発酵がすすまない。
それを補うために麹を使うようになったといわれている。
麹は、ほどよいすっぱみと、甘さを生み出す。
塩出しした魚には適度に塩味が残っていて、この甘酸っぱさと相まって、「飯ずし」は独特の味わいとなる。
昨年は石川県金沢で大根ずしを食べ、蕪ずしを買い込んできた。
そして、今回の紅鮭の「いずし」。
東北に行かなくなって久しい。それこそ毎日のように食べていた「飯ずし」を堪能できなくなって、これまた久しいのだ。
「飯ずし」というものにもうまいまずいがあり(当たり前か?)、悲喜こもごも、そのうまいものに当たった幸福感はいいようがない。
秋田市民市場、青森駅前市場、函館の市場などで「飯ずし」を買い込んでは一喜一憂していたのが懐かしい。
さてさて、今回の「いずし」がよかったのだ。
八王子の『フレッシュフーズ福泉』で見つけて、まったく期待しないで買ったものなのに予想以上に美味だった。
何より、ベニザケの塩加減がいい。麹から来る甘さも、すっぱみもほどよく、大根ニンジンだけという飾り気のなさも本格的な気がする。
このまったりした「飯ずし」は日本酒、燗酒に合うのだけど、これを肴として、今年の正月はうまい酒を飲ませたもらった気がする。
ちなみに全国流通するものだから、無添加でもなければ、調味にアミノ酸や糖分も使っている。
これが気になるか、気にならないかは、人それぞれ。
ボクは添加物だって、食べ物の多様性を生み出している重要な存在だと思っている、自然食嗜好の方には悪しからず。
最後に、『山嬉石田水産』のラベルを見ているとハタハタ、サケの絵があって、その下に見慣れぬ魚がいるのだ。
よくよく見るとウグイではないか。
ひょっとしてウグイの「飯ずし」も作っているのだろうか?
確かめなければ。
山嬉石田水産 北海道函館市的場町19-14
●市場魚貝類図鑑、ベニザケへ
http://www.zukan-bouz.com/sake/benizake/benizake.html