寿司図鑑 786貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

昭和鯛/ワキヤハタ

しょうわだい / ワキヤハタ
昭和鯛/ワキヤハタ
握り

日曜日の尾鷲漁港見学は面白かった。
 あまりに多彩、また見事な魚貝類に呆然として自己を失っていたように思える。
 帰宅するや、もっと貪欲に、冷静に、「あれも見ておけばよかった」、「そうだ、こんなこと聞いてみるべきだった」なんて後悔がいっぱい湧き揚がってきた。
 それほどに尾鷲漁港は魅力的だったのだ。

 尾鷲漁港でたぶん「昭和になってから、まとまってとれるようになったがために“昭和鯛”と呼ばれている魚」がある。
 水深100メートルを超えるところに生息するオオメハタ属の魚たちだ。
 面白いのはオオメハタ属の魚を相模湾ではまとめて“白ムツ”、駿河湾では“デンデン”という。
 オオメハタ、ナガオオメ、ワキヤハタと見た目はほとんどかわらない。
 味も同じなので水産の世界では1種類となってしまうわけだ。
 地元の魚を見続けてきている岩田昭人さん曰く。
「オオメハタもナガオオメもワキヤハタも、三種ともとれますよ」
 ただ、14日の尾鷲漁港、見た限りではワキヤハタばかりだった。

 これを持ち帰ったら、当然『市場寿司 たか』に急ぐことになる。
 たかさんほど、オオメハタ属を好きなすし職人もいないだろう。
 だまって七、八尾渡して、すぐに二かん。
「あれ、デンデンだよね。沼津に行って来たの」
「違う違う。尾鷲で揚がったやつ。三重県尾鷲市、日本一雨の多いところだよ」
 たかさん、ホワイトボードに“デンデン”と書いているので、
「尾鷲だから“昭和鯛”って書いてよ」

 ワキヤハタは上品な白身ながら、見た目以上に脂がのっている。
 だから口に放り込むと、トロっとしている。
 甘みが感じられて、すし飯とほどよく馴染んで、すううううっと口に消えていく。

「トレビアーンな味だね」
「たかさん、すしなんだからイタリア語はやめようよ」
「違うよ、フランス語だよ。トレビアーン」

岩田昭人さんの一日一魚
http://www.pref.mie.jp/OKENMIN/HP/ichigyo/

寿司ネタ(made of)

ワキヤハタ
Silverbelly seaperch

ワキヤハタ
底曳き網や深場での釣り漁で揚がる魚。近縁種のオオメハタとよく混同されている。
量的には少ないが上質の白身として、プロの間では非常に評価が高い。・・・・
市場魚貝類図鑑で続きを読む⇒

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