「市場寿司 たか」で試行錯誤した新しい寿司ネタ、定番の魚貝類から各地の郷土料理や我が家の寿司まで種別に公開しています。現在めざすところは1000種のネタ図鑑にすることとし、市場と日本の水産物の可能性を試す。また地方での寿司というものを取り上げて我が国の「寿司」「鮨」「すし」のことを理解していきたいと思っている。
寿司図鑑 本巻
寿司図鑑 雑記
| 本巻852貫 | 芭蕉梶木/バショウカジキ |
2011年10月05日 |
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旬:秋から冬
この大きな背鰭を持つカジキを東京では芭蕉梶木という。
背鰭の形がバショウの葉に似ているためで、
実際、軟条がバショウの葉の葉脈のようで、
とてもリアルである。
ちなみにバショウとはショウガ科の植物で、近縁種にバナナなどがある。
松尾芭蕉の〝芭蕉〟という俳号がここからきているのは有名で
古くから庭に植えられていて人口に膾炙していた植物だ。
九州では秋に取れるので「秋太郎」という。
秋になるとまとまってとれ、味がよくなるためだ。
相模湾にも、バショウカジキが入ってきているようで、
夏から秋にかけてしばしば小田原から入荷をみる。
実は比較的安い魚なので、丸30キロの三分の一を買い求め、
『市場寿司』で握りに仕立ててもらった。
真っ先に買ったので、いちばん上(頭部に近い部分)が手に入った。
砂ずり、マグロでいうところの大トロ部分は、さすがに脂が乗っている。
脂が乗っていないとうまくない塩焼きにしても、驚くほどに味がいい。
皮がしゃわしゃわとして、口の中でつぶすと、
じわりじわりと脂がしみ出してくる。
すし職人のたかさんも
「バショウはうまくないと思っていたけど、
こんなに旨みがあって、脂がのっている時期があるんだね」
マカジキ同様に種にしてよいと、太鼓判を押すのである。
腹側の部分は筋が多いものの非常に美味であった。
脂のせいか、甘みがあり、筋もそれほど硬くなく気にならない。
すし飯に負けない味の強さがあり、へたな本マグロよりも味わい深い。
問題は背の部分。
うまいことはうまいが物足りない。
たかさんとあれこれ思案して、づけにする。
しょうゆにみりん少々合わせ、これに種をくぐらせる。
このまま1~2分ほど待ち握る。
薬味はわさびではなく、練り辛子である。
脂の甘さの代わりにしょうゆのアミノ酸、
みりんの甘みが加わって、やや淡泊すぎるのを補ってくれる。
「これ、いくらでも食べられる味だね」
「そうだね。古くからあったやり方だけど、いいね。
ちょっと物足りない魚なんかには非常にいいよ」
すしを食べた後の汁は、中骨でだしをとった。
これも絶品である。
八王子総合卸売センター『高野水産』
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