寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
円蝦夷法螺/マドカエゾボラ
まどかえぞぼら / マドカエゾボラ
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関東では巻き貝のツブを刺身でよく食べるようになった。
本来、北海道で食べていたもので、いつ頃から関東に「ツブ刺」が根づいたのかというのも調べてみたいものだと思っている。
ツブといっても大方の人はわからないに違いない。
分類学的なことを書くと、巻き貝の仲間でエゾバイ科に属している。
刺身にするのはエゾボラの仲間で、足(筋肉)の部分にテトラミンという弱い毒を持っている。
煮ても焼いても美味なのだが、関東では食感のよさから人気がある。
このエゾボラ属の巻き貝が地域や水深で微妙に形が異なる。
例えば水深数千メートルに生息するシンカイエゾボラなど、色の淡い貝殻が薄く、丸みを帯びている。
これが北海道の磯場でもとれるヒメエゾボラ(青つぶ)になると貝殻が厚くなり、黒く焦げ茶色で小石を思わせる。
エゾボラなどの巻き貝は生息する地域や水深で隔離されて、長い年月の間に種が形成されるのだ。
地味な貝なので、収集家にとってもやや特種な分野となっているようだ。
貝の収集というと、熱帯の佳麗な文様や奇抜な形を楽しむことが多い。
でも熱狂的な貝の収集家には地味だけど地域変化があり、生息域が深いためになかなか手に入らないエゾバイ科を偏愛する人がいる。
そんなエゾバイ科を集める人にとって、マドカエゾボラはなかなか魅力があるようだ。
千葉県銚子市から三陸沖の水深100メートルから200メートルにいるもので、いざ探してもなかなか見つからない。
さて、ここまでが貝の収集の話。
魚貝類の流通の場である市場では、ときにこのような珍しい巻き貝がごっそり到来する。
たぶん福島県原釜の底引きで揚がるもので、漁師さん達には「金にもなんね、」なんて嫌われているのではないか?
原釜港での光景が目に浮かんできそう。
それがこれまた「金になんね、」、ナガウバガイと一緒に入荷してきた。
しかも収集家が見たらビックリするほどたくさん。
一箱1000円で買って、その場で剥いていく。
滑りを取り去り、たかさんにバトンタッチ。
ここで問題となるのがエゾボラ属の身の硬さだ。
たかさんは適当に開いて、ただ握る。
シコシコして、甘みが感じられて、なかなか美味だが、すし飯が噛んでいる内に喉を通りすぎていく。
すし飯との相性最悪というヤツ。
そこで近年、石川県金沢などで流行っているという、あられ(細かくいろんな形に切る。乱切りともいう)にして軍艦に乗せる。
これが滅法うまい。
エゾボラ属特有の甘みというか、爽やかな苦みを感じて、食べた後も苦みが余韻となって残る。
あられに切っているのですし飯との相性もいい。
巻き貝のすしを嫌っている、たかさんにもこの軍艦にすることで、徐々に好むネタになりつつあるようだ。
何気なく、数かん追加して、また口に放り込む。
さてマドカエゾボラはトロ箱(トロール箱)に30個前後。
ちゃんと貝の収集家の方にもお分けしたことを明記する。
寿司ネタ(made of)
マドカエゾボラ
Whelk
味のいい巻き貝だが、むしろ貝の収集の対象として人気があるよう。・・・・
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