寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
青森県むつ市いかずし
あおもりけんむつしいかずし / スルメイカ
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ボクの個人的な意見だが、青森県は日本ではない。
むしろ東南アジアとか、例えば、もっともっと極言するならば四国生まれのボクには、想像を絶する異世界である。
その原語、そのファッション、その食べ物。
例えば、初めて青森に行ったのは、忘れもしない1986年のこと。
早朝四時半、暖冬で、雪のない年であって、二月とは言え、青森で初めて会ったオッカサンが「あったけな」と言うくらいの日だったのだ。
青森駅前市場近くの迷路で、地図もなくとにかく歩く。
湯気とも、霧ともつかないものが立ちこめる中、蠢く人人人。
鎌を並べて売る人がよそ者のボクに「かまいらないっか?」というし、寒さに頭がゴイーーンと鳴っているのに、「どこさきた」、路地の奥から声がするのだ。
よく見ると暗がりに真っ赤な着物を着たお婆さんがいる。
前に桶があって、塩漬けのキノコとか、漬物を売っている。
ちりれんげに桶の中のものをすくって差し出すので、手に受けて食べたら塩辛いけどうまい不思議なもの。
これが青森で初めて食べた食物なのだが、今もって正体が不明だ。
帰りに買って帰ろうと思っても、その暗がりのお婆さんが見つからなかった。
枕が長くなった。なにを言いたいかというと、青森の食べ物はどこかエスニックさを感じるということ。
イワシの焼き干しを使ったラーメンにキノコの塩漬け、甘い甘い煮つけに唐辛子、雪の白さのなかの真っ赤なリンゴもどこか異国を思わせる。
それになんだろうね、あの青森のオッカサン達が被っている帽子のようなもの。
今回の「いかずし」を食べたときに、やはり青森は「異」なところだと、20年以上前の光景が浮かんできたのだ。
さて市場の惣菜部門には日本全国からいろんな食品がくる。
今回のものは郷土食を感じるもので、例えばスーパーなんかでは絶対お目にかかれないものだろう。
イカの胴の部分があって、それがややしらっちゃけている。
ただそれだけで、「いかずし」とあるからにはすしなんだろう。
面白そうなので買って帰り、切ってみると、驚くことにご飯ではなく野菜が詰まっているのだ。
キャベツとニンジンにせん切りのショウガが混じる。
これが甘酸っぱくて、イカ自体も甘酢に漬けてあるような。
これは一般概念からすると、おかずか?
酢の物というとらえ方もある。
とにかくさっぱりと爽やかな味わいで、青森県人は異なことをするが、間違いなく「うまいものを作るのだ」と感心する。
もっとたくさん買えばよかった、と思うほどうまい。うまいけど、以後一度も入荷してこない。
どうにも残念だ。
扇谷 青森県むつ市大畑町鳥谷場178-2
寿司ネタ(made of)
スルメイカ
Japanese flying squid
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