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このごっつい野武士のような面構えを見て、何か言うだろうなと思ったら、たかさんあっさりまな板にのせて下ろし始めた。
「硬ーーな。え、どうして魚の名前をどうして聞かないのかって。これ知ってるもんね。前に言ってただろ“ヒゲがあるからヒゲダイ”だろ」
身に包丁を入れると、
「重いね、包丁が。脂がべとべとだね」
ビックリしたのは脂が皮下ではなく身全体に混ざり込んでいることだ。そして皮下の血合いの色合いが淡い。たかさん、口に一切れ放り込んで、
「刺身でもうまいね。イサキの仲間だってけど、そんなに似てないし」
そして厚めに切り付けてまずは２かん。
「こんなに味が強く主張するんだね。個性的な味じゃないのに、うま味が豊かだってことかな。ある意味イサキに通じるところあるよね。たかさん寿司ネタとしてどうよ」
身が柔らかく感じるのはあぶらがのっているせいらしい。そして味が濃い。
「このヒゲもだてじゃないね。今日の特撰ネタはヒゲジイサン。ドゥビドゥバー」
たかさんがこちらに向けたヒゲダイの顔が「ドゥビドゥバー」に似ている。
2008/12/26