寿司図鑑 574貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

バナメイ

ばなめい / バナメイ
バナメイ
握り

まだ生きている。透明ビニールのなかでコツンコツンと暴れているのはバナメイである。
 産地は不明。たぶん中国か東南アジアから活けで空輸されてきたものだろう。
 このような輸入エビが活けでくることは希である。

 バナメイと聞いてエビの名前だとわかる人は少数派だろう。
 もっと踏み込んでクルマエビ科だとわかる人はより希な人。
 もっともっと踏み込むと養殖されたもので、最近ではクルマエビ科の主役であったブラックタイガー(ウシエビ)を脅かす存在になっている。
 ここまでわかると、あんたは偉い。
 エクアドル原産のエビが台湾などの業者の努力で、世界のエビ地図を塗りかえつつあるのだ。

 生きているエビは『市場寿司 たか』の暖簾をくぐっても元気だ。
 これを、たかさん容赦なく串打ち。
 これを見ていた冷凍業者が
「たかさん、それ何?」
「バナナだっけ」
「違うよ、バナメイ」
「ああ、それならウチにもあるよ。試食用あるから持ってきてやろうか?」
 冷凍屋が持ってきたのは小さなバナメイの皮を剥いたもの。
「これエビちり用で人気があるんだ」

 串打ちしてゆでること、数分。
 たかさんは串をもってときどきエビの殻を押さえながらゆで加減をみている。
 これを冷水の落として皮を剥く。
「本当は甘酢に漬けるんだけど、今回はゆでるだけ。なんしろ今日は持ち帰りの予約が多いからね」
 これを握ったら、素晴らしい味なのだ。

「さすがに世界制覇しそうなエビだね」
「そうだね。ゆでた時の色がきれいだし、甘味がある」
「クルマエビにはかなわないけど、ブラックタイガーと比べたら(価値は)同じくらいじゃない」
 それは言い過ぎだ。
 確かに甘味も強いし、噛むとパリっと弾力があり、エビの風味が立つ。
「クルマエビからすると数段下じゃない。たかさん」
「でも最近クルマエビ食べてないからね。ウチは単価の安い寿司屋だから、ついついブラックと比べちまう」
 ついでだから冷凍屋の持ってきたむきえびをゆでて試食する。
「これはエビちり向きだね」

寿司ネタ(made of)

バナメイ
Whiteleg shrimp, Pacific white shrimp

バナメイ
南米エクアドルなどで養殖が始まったもの。もともと台湾の業者が開発に取り組んだもので、病気に弱く同じ池で連作できないブラックタイガーに替わるものとして期待されている。
ただし中型のクルマエビであること、ホワイト系で赤の発色が弱いことなどで、ブ・・・・
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