寿司図鑑 573貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

上り秋刀魚/サンマ

のぼりさんま / サンマ
上り秋刀魚/サンマ
握り

「北上する」と言うし、「南下する」とこの国では常套的に使う。
 間違いなく「北が上」で「南が下」と言うことで北に向かうサンマを「上り秋刀魚」と呼ぶことにする。
 北に向かうサンマにはあまり馴染みがないだろうと思う。
 それでは北上するサンマが漁獲対象ではないか、というと春の針子(はりこ)という稚魚は干物、煮干し原料としてなかなか高価なものだし、木の芽時から初夏にかけて北上する群の中にはあまりにも沿岸に近づきすぎて定置網や巻き網に入ってしまうものが少なくない。

 この交通事故に遭ってしまったような不幸なサンマが今回の主役だ。
 とれたのは宮城県石巻。金華山にぶつかってついつい目測をあやまって石巻湾にでも迷い込んだのだろうか?

 触った限りでは、少しは脂がありそうだ。
 北上するほどにツノナシオキアミなどを飽食し、皮下に大量に脂をため込む。
 その飽食のときを待たないで入荷してきた若魚である。

 毎年新サンマが入荷すると『市場寿司 たか』で握りにしてみる。
 これが恒例なので七月初旬にサンマを手渡すと、
「ちょっと早すぎるね。まさか冷凍かい。違うな脂がないぞ」
「北に向かう“上りサンマ”です」
「上りガツオは聞いたことがあるけど(?)、上りサンマか」
「つべこべ言わずに早よ握らんかい」
 とにかく三枚に卸して血合い骨を抜き取って、刺身で試食。
「うん、うまいじゃん」
「そうかな、たかさん、脂がないだろ」
「そんなことはない味があるっていうのかな、うまいよ」

 握りにしてもボクとたかさんの意見は割れたまま。
 ボクにはこの淡白さがもの足りない。
 やはりサンマは脂が命だ。
 そこへ市場の風来坊ちょんまげ切りのオヤジがやって来て、サンマの刺身で勝手にコップ酒をあおる。
 朝から不謹慎だと思わないで欲しい、この市場人は午前二時から働いているのだ。
 ということで午前11時は夕方にあたる。
「このサンマいけるね。脂はないけどうまいよ」

寿司ネタ(made of)

サンマ
Pacific saury

サンマ
サンマには日本海産と太平洋産がある。一般的にサンマというと太平洋を回遊するものをさす。
古くは塩蔵か干ものとして食卓をにぎわせていた。江戸時代江戸の町で食べていたものも、また山間部などに送られていたものも干もの、もしくは塩蔵品だ。また江戸の・・・・
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