寿司図鑑 572貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

銀鱈/ギンダラ

ぎんだら/ぎんだら / ギンダラ
銀鱈/ギンダラ
握り

ギンダラの生は珍しい。
 数年前にアラスカからチルドでの輸入が行われたのだが、それもあまり長続きしていない。
 ギンダラの魚としての位置が曖昧だ。
 冷凍フィレ、ヘッドレスでキロ当たり2000円前後はかなり高級品。
 じゃ、生は二倍の価値があるのだろうか?
 値段としては少々上乗せがあった程度。
 以上は輸入ものの話なのだけど、三陸以北の底引き網で少ないながらも水揚げがある。
 ちなみに「銀むつ」は南半球でとれるメロに商品名というか「売りやすい名」をつけたもの。
 同じくニュージーランドで揚がるイボダイの仲間を「めだい」として売っていたこともある。
 それからするとギンダラは国内産のものに標準和名がついたもので、いかがわしさや、商業的な意味合いはない。

 この三陸東沖合でとれた丸のままのギンダラを石巻魚市場で見つけたときには、歓喜が走った。
 この真っ黒で見栄えの悪い魚が光り輝いているような。
「浜根で3000円以上はするでしょ」
 一緒に市場を歩いてくれた天佑丸冷凍冷蔵株式会社社長の尾形清雄さんが濁音がちに呟く。
 そこを通りかかったのが現地仲卸の「カネキ」の社長で、この方が競り落とした値も3000円だった。
 一本で一万円なり。

 こんなことを『市場寿司 たか』で語りに語ったのだけど、たかさんの反応は鈍いね。
「真っ白だね。見てくれはそんなにいいわけじゃない。宮城の人だけじゃないの。高く買うのは」
 試食用の二三かんを握って、たかさんも一かん口に放り込む。
「なんだこれは大トロだね。酸味のない大トロ。溶けるときに魚の旨味が感じられるかな。うまいことはうまいね」
 うまいって言えばいいのだ。こんなところが五十路も半ばのオヤジは素直じゃない。
「だいたいね、生の国産のギンダラを食べる機会なんて絶対にないのよ」
 大トロといったけど、最初はシコっと一瞬だけどして、溶けていく。
 そこに甘味が感じられながら、旨味を伴う。
「二、三かんつまむには最高だね」
「そうだね。ボクも二、三かんで充分だ」
 そこへ小田原で仕入れをやっている魚屋がきて、
「あれ“おしつけ”だろ。オレにもくれよ」
 この“おしつけ”とは神奈川県小田原、静岡県沼津などでのアブラボウズの呼び名。
 この人、何気なくギンダラの核心をついている。
 ギンダラはアブラボウズにそっくりな身質、それもそのはずで同じギンダラ科の魚なのである。

寿司ネタ(made of)

ギンダラ
Sablefish, Black cod

ギンダラ
阿部宗明は〈本邦から初めて報告されたのは昭和14(1939)年丸川久俊(日本海の好漁場、大和堆を見つけたことでも有名。プランクトン学)によってであり〉とある。標準和名を決めたのは漁業と密接な関係をたもっていた阿部宗明ではないかと思う。
「た・・・・
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