寿司図鑑 578貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

朝鮮法螺/チョウセンボラ

ちょうせんぼら / チョウセンボラ
朝鮮法螺/チョウセンボラ
握り

「朝鮮法螺」という標準和名は間違いなく島根県などの漁船が西部海域、すなわち朝鮮半島に近い場所で水揚げしたものを、貝の専門家が研究。
 それをヒメエゾボラの一地方型としたときに地元の呼び名をそのまま使ったものだろう。

 ヒメエゾボラは関東にも頻繁に入荷してくる巻き貝で、市場では「青つぶ」と呼ばれている。
 小さい上に貝毒のテトラミンを持っているので簡単に煮貝にもできない。
 それでもっとも安いつぶに成り下がっている。
 そのヒメエゾボラの亜種であるチョウセンボラは関東にはまったく入荷してこない。
 こちらは大きく貝殻も白くきれいだ。
 刺身用の足も大きい。

 斑(ふ)が入っていたり、やや黄色みがかっている。
 これが刺身用つぶのマイナス要因になる。
 チョウセンボラにはまったく、このような欠陥がない。
 非常に美しい。
 この刺身にしたときの素晴らしさから、島根県でももっと売り出したらどうだろうと思う。
 特にエゾボラ属を好む関東に向けて。

 今回のものは島根県大田市(おおだ)和江でとれたものを水洗いして、唾液腺を抜き、塩もみして滑りを取り去って「市場寿司 たか」に持っていった。
 純粋に貝の味わいを評価してもらいたかったのだ。
 これが功を奏したのか
「初めてつぶをうまいなと感じたよ。まああの滑りをとるのは面倒だしね。改めて食べてみるとアワビとかと比べてもいい味だよね」
 刺身での評価は上々だった。
 そして握りだが、たかさんの評価は、
「うまいことはうまいけどダメだね。寿司飯と比べて硬すぎるよ。馴染まない。オレはサザエなんかも嫌いだし、生のアワビを握るのもイヤなんだけど、同じ理由で×」
 そんな言い草を脇目に、ボクはこの握りを堪能していたのだ。
 コリコリと食感もいいし、歯切れもいい。
 その咀嚼する口中に貝の旨味だとか甘味だとかが充満する。
 そこに酢飯がくるのだけど、これもいいな。
 ボクが思うに生の貝で握りにして、これほどうまいのも珍しい。

 関東では真つぶ(エゾボラ)が寿司屋でも握りの種として受け入れられつつある。
 それならチョウセンボラは同じレベルのもじゃないだろうか、いやそれ以上か?

寿司ネタ(made of)

チョウセンボラ
Whelk

チョウセンボラ
ヒメエゾボラの日本海西部形。韓国などではこの形態ばかりになる。
ヒメエゾボラよりもやや大型で、利用法も同じ。・・・・
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