寿司図鑑 602貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

鯒/コチ

こち / マゴチ
鯒/コチ
握り

東名を東に。
 驟雨沛然。朝方から汗ばむほどに暑かった。
 そして太陽が真上に来るかという時になっての天候の激変だ。
 左右にあるはずの山は雨の中に沈んで消えた。
 当然湿度は100パーセントだろう。
 東名高速はほんの100メートル先の視界もおぼつかない。
 何台かのクルマはライトを点灯させている。
 そしていくつかのトンネルを抜けると突然の青空になる。
 これは5月の箱根越えではよくあること。
 午後3時過ぎ、厚木、相模原を通り過ぎてやっと『市場寿司 たか』に乗り付ける。
 やっと手が空いたたかさんが、市場の仲間と談笑しているのを無理矢理店に戻す。

 沼津(静岡県沼津市)から持ち帰った、まだ身が生きているコチをさばいてもらう。
 今回のコチは沼津魚市場でお土産にいただいた活けのもの。
 卸しているのを見ても身が反発して縮んで、ゆがんで、包丁を避けているかのようだった。

 ほどなく目の前に来たのがこの握りだ。
 たかさんもさっそく口に放り込んで、
「気温が上がってきてのコチはいいね。できればネタで仕入れたいけどね」
 それでも値段を抑えて営業している寿司屋には値段的に痛いものである。
 一匹分全部握りにして、『市場寿司 たか』の寿司飯は完売した。
 そこに市場仲間の手が伸びてくる。
「コチは活けに限るね。シコっとして身が口の中で反発してくるよ。そしてほんのり甘いね。いい味だ」

 シコっとした食感が爽やか、そしてジワリとうまさがしみ出してきて、ほんの少し甘い。
 ボクはたかさんにうなずくしかない。

「夏を食っているようだ」
 たかさん、それは言い過ぎだ。
 5月のコチはまだまだ食感を楽しんでいるのであり、真のうまさにはなっていない。
 夏が待ち遠しい。

寿司ネタ(made of)

マゴチ
Bartail flathead

マゴチ
コチ科で古くから愛されてきた白身の高級魚。江戸時代の江戸や大坂、名古屋など大都市は大きな湾の奥にあるものだが、そんな沿岸域でたくさんとれる。ある意味、白身の高級魚の代表的なもの。年間を通してやや高値だが、ヒラメの味が落ちる初夏に旬を迎える。・・・・
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