寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
裳裾貝/モスソガイ
もすそがい / モスソガイ
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最初は北国の貝だとばかり思っていた。
なぜなら1988年春、初めての青森県、青森市駅前市場に串刺しのものがいっぱいあったからだ。
これが東京湾にもいる貝だとは夢にも思わなかった。
だいたい浦賀に来たペリーが持ち帰って19世紀に種を登録したのだ。
書物を紐解いてわかっていても三河湾などで見るとビックリしたものだ。
今回のモスソガイは茨城県産。
茨城県北部には底引き網などの大きな港があり、ここから北へ三陸、八戸まで浅場、深場の多種多様な底性生物が揚がる。
モスソガイも浅場を代表する底引きの産物だろう。
巻き貝を江戸前握りに仕立てるのはなかなか難しい。
それに寿司飯との相性が悪いというのもある。
名店と言われる、すし屋で使う巻き貝と言ったらアワビくらいだろう。
寿司職人の渡辺隆之さんにモスソガイをどう仕込んで持ち込むか、まず思案に暮れる。
普通、モスソガイはゆでこぼして、ヌルを取る。
これを薄い醤油味のだしでことことと煮ていく。
巻き貝は煮すぎると硬くなりやすいのだけど、モスソガイだけはいつまで煮ても一向に硬くならない。
重宝な貝ではないか、と思われるかも知れないが、貝自体にはあまり旨味がない。
仕方なくだしの中で長時間泳がせるのだ。
ここに難点が存在する。
寿司ネタはあまりしっかり味がつきすぎてもいけないのだ。
よくよく考えて、まずは長時間酒蒸しにする。
酒と水は半々、塩味でコトコトやり、鍋止め、半日寝かせてみた。
『市場寿司 たか』に持ち込むと、また巻き貝なんだ、と露骨に嫌な顔をする。
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オマケに隣には食通を自認するちょんまげ切り男がいる。
握りは素直に出てきた。
でもいきなり、たかさん、攻撃を仕掛けてくる。
「まずくはないよ、でも人に食わす味じゃないね。貝自体の大きさを考えると、もっと味があった方がいい」
ちょんまげ切り男はもっとひどかった。
「だから素人はダメだっての」
あんたも寿司の世界じゃ素人だろう。
ここで少々反省すると、まず見た目が悪い。
そしてモスソガイの特徴でもあるが貝自体に味がない。
しかも軟らかい貝であっても、これだけボリュームがあると寿司飯との一体感がまるでない。
むしろ醤油のだしでしっかり味付けして、適度に薄切りにする。
これを種にすべきであった。
我ながらすぐに反省できるところが偉い。
ちなみに、まずいまずいとはいいながら、それなりに貝の旨味も感じるし、酒蒸ししたときの塩味もある、“捨てがたい味じゃない”かな?
寿司ネタ(made of)
モスソガイ
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宮城県のアワビツブは生で食べるとほどよい食感があり、うま味豊かであるため・・・・
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