寿司図鑑 609貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

万作の昆布締め/シイラ

まんさくのこぶじめ/しいら / シイラ
万作の昆布締め/シイラ
握り

昆布締めにしたら色合いが悪くなった。でも味は抜群

 関東におけるシイラの立場は、かなり悪い。
 この日、和歌山県から送られてきた1本3キロ前後のシイラの値段が仲卸でキロ当たり300円。
 これ以上ないという安値である。
 鮮度はまあまあいいほうだろう。
 島根県水産技術センターによるとシイラは個体による身質の優劣が激しいということで、よく選んで買い求める。

 これを『市場寿司 たか』に持っていく。
 ネタの切り付けをしてみるとなんとか握りに使えそうだ。
 この握りが悪くない。

siira080801.jpg
●クリックすると拡大
生の握り

「ああ、意外にうまいね。思ったよりも脂があるのかな、うまいね」
 ボクも同意見なのだが、どうにも平凡すぎる。
 シイラというのは関東では純然たる惣菜魚で刺身にして食べるという習慣がない。
 これは、いなだ(ブリの若魚)からしても個性がなく、旨味が薄いと思われているせいだ。

 納得できないので、持ち帰って、昆布でしめてみる。
 強い塩をして1時間。
 塩を洗い流して、清酒で風味漬け。
 これを昆布で包む。
 翌日、『市場寿司 たか』で握りにする。

siira0807030124.jpg
●クリックすると拡大

takatakatakaninu08031.jpg
●クリックすると拡大

 昆布締めにした色合いは決して美しくない。
 でも、味はグンとよくなっている。
 なによりも身がしまって、昆布のグルタミンと、シイラの身のイノシンが結合しての旨味の相乗効果が如実に現れている。
「これはうまいね。生よりもいい。常連さんに出してあげたいネタになっているよ」
 面白いもので、昆布で締めたら食感までよくなっているのだ。
 寿司飯との相性もいい。
「いい握りだね」
 居合わせた市場人からも賞賛の声があがる。

 これこそ「豊年万作」の味わいである。

寿司ネタ(made of)

シイラ
Common dolphinfish,  Fr/Coryphène commune,  Sp/Lampuga 中国語/鬼頭刀魚、扁頭刀

シイラ
世界中の暖かい海域にいる大型魚。国内では春から夏に生まれた稚魚は日本列島周辺を回遊しながら大きくなる。日本各地で様々な食べ方をしている。大型魚はともかく小型魚(幼魚)などは典型的な未利用魚(人間が直接食べない)だ。大型でまとまって取れるので・・・・
市場魚貝類図鑑で続きを読む⇒

この寿司ネタの他の寿司(Others)

ぼうずコンニャクの本

すし図鑑
バッグに入るハンディサイズ本。320貫掲載。Kindle版も。
すし図鑑ミニ
~プロもビックリ!~

すし図鑑が文庫本サイズに! Kindle版も。
美味しいマイナー魚介図鑑
製作期間5年を超す渾身作!
からだにおいしい魚の便利帳
発行20万部突破のベストセラー。
地域食材大百科〈第5巻〉魚介類、海藻
魚介類、海藻460品目を収録。