寿司図鑑 654貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

赤笠子/アカカサゴ

あかかさご / アカカサゴ
赤笠子/アカカサゴ
握り

駿河湾でのトロールの最終日だ。
(注/駿河湾の底曳き網は9月中旬から5月中旬まで)
 深い場所をかけまわして曳く、駿河湾のトロールには信じられないほどの生き物がかかる。
 刺胞動物、棘皮動物、軟体動物、脊索動物と、動物界すべてが網羅される。
 そこから魚類、甲殻類、軟体類などが選別されて、市場に並ぶのだ。

 競り場で目立つのは赤い魚だ。
 ハシキンメ、ヒウチダイ、ユメカサゴにアカカサゴ、シロカサゴ。
 赤、白と最後に2種ならぶものは非常に似通っている。
 シロカサゴとはいっても真っ赤であるし、アカカサゴとの色合いの違いはまったくわからない。
 どうして「白」なんだろうといぶかしく思う。
 このシロカサゴとアカカサゴが混ざるカゴを選んで山丁さん(菊地利雄さん)に競り落としてもらう。

 午前9時前に沼津を出ると、八王子には午前中に到着する。
 『市場寿司 たか』にはすでに行列ができはじめている。
 アカカサゴだけ選んで、たかさんに渡して、一度帰宅する。
 店の終了する午後2時にアカカサゴを握りに仕立ててもらった。

「棘がすごいな。細くて鋭くて」
「そうなんだ。沼津の漁師さんもイヤな魚だっていってる。値段も安いしね」

 アカカサゴの切りつけしたネタは、普通の魚で銀皮と言われるうっすらした皮下の層が、薄赤い。
 身は水っぽくて、口に入れると一瞬甘味を感じるけど、旨味には欠ける。
 そんなにうまくはない。
「たかさん、うまくはないね」
「まずくもないけどね。ウチのすし飯は甘くないだろ。むしろ甘いすし飯だったらいいんじゃない」

 西伊豆で「赤かさご」の握りを出す、すし屋があるという。
 いったいどんな味のすし飯なんだろう。
 ちょっと好奇心が湧いてくる。

寿司ネタ(made of)

アカカサゴ
Red deepwater scorpionfish

アカカサゴ
太平洋側の底曳き網で揚がるもの。珍しい魚ではないが、水揚げ量は少なく流通上での認知度も低い。
漁業者には棘が硬く刺されると痛いので雑魚として扱われ、嫌われていた。競り場などに普通に並ぶようになったのは2000年以降である。・・・・
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