寿司図鑑 696貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

青矢柄/アオヤガラ

あおやがら / アオヤガラ
青矢柄/アオヤガラ
握り

和歌山県串本市にある出口水産からの荷はまことに面白い。
 黒潮洗う串本には珍しい魚が目白押しにあがるらしく、それを売れる売れないにかかわらずいっぱい関東に送り込んできてくれる。
 築地などを歩いていて、不況であるのを痛感するのは店頭におかれている魚貝類の種が減ることによってだ。
 水産物というのは産地から消費地に運ばれてくるわけで、そこには流通コストがかかってくる。
 水産物は売れるから流通コストを稼ぎ出し、儲けが生まれる。
 不況になると「売れるのか、売らないのかわからないもの」は送ってこない。
 特に種類のわからない魚貝類、一定の評価のないものなどあっという間に市場から姿を消す。
 そんなときにも関わらず果敢に消費者に正体不明の魚を持ってくる、素晴らしいね出口水産。

 そんな出口水産の入会(いろんな魚が混ざっている荷、入相などとも書く)にアオヤガラが入っていた。
 アカヤガラと比べてまずいと、いろんな書籍に書かれているのがアオヤガラだ。

 ボクの古くからの趣味が釣りなのだけど、磯や防波堤でよく見かける魚で、生き餌(小魚)をエサに釣り上げることが出来る。
 昔よく釣り仲間に「この前の釣行で最大のは70センチだったよ」なんていう。
 「ほう、八丈島にでも行ったな」なんて聞かれるので「(西伊豆の)土肥の防波堤だけど」なんて答えて、「どうしてそんなところで70センチ級が釣れるんだい。嘘だろ」とくる。
「絶対に嘘はついておりません」
 まるで政治家のようなことを言い、「本当に真剣に体長(尾鰭も含めて)70センチだったんだよ。アオヤガラだけどね」と落とす。
 釣ったものはできるだけ食べるのが私流なので、アオヤガラはさんざん食べた。
 でもまずいなんて一度も感じたことはなく、むしろうまい魚なんだと力説したいくらいだ。
 あの細長い身体を半分に開いて塩して干し上げたうまさよ。
 刺身だってうまいんだぞ、それなりに。

 残念ながらうまいはずの生のアオヤガラ、すしに乗せたら平凡だった。
 たかさん曰く。
「まずくはないよ。比較的うまいんじゃない。クセないし」
 この「クセないし」というのがいけないのだ。
 旨味に欠けるということに他ならない。
 だから持ち帰って、昆布締めにしてみた。
 これが文句なしに美味。
「これは昆布締めのなかでもいい方じゃない。メダイとかメジナとかやったけど、これがいちばんだね、今のところ」
 本当にうまいのであるけど、このうまさはなんだろう。
 ほんの少しクセを感じるのだ。
 昆布締めにして浮かんできた旨味といってもいい。
 グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果が引き出したものなのだろうか、下に旨味を殷々と残してくれる。

 はっきりとアオヤガラうまい! と言い切れる味わいだ。

寿司ネタ(made of)

アオヤガラ
Bluespotted cornetfish

アオヤガラ
食用として出回らない。・・・・
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