寿司図鑑 695貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

石垣鯛/イシガキダイ

いしがきだい / イシガキダイ
石垣鯛/イシガキダイ
握り

イシガキダイでのシガテラ中毒に関する千葉県での報道を見ていると、考えさせられることが多い。
 例えば、今回調理した店が原告となり、負けてしまったのだけど、ここに落ちどはあったのだろうか。
 判決を見ると過去に千葉県でのシガテラ中毒例が皆無ではなかった。
 またイシガキダイでの中毒例もあるし、書籍などで調べることによって、事故(中毒)は防げたとしている。
 でも本当に防げたのだろうか?
 この判決のおかしいところは、「どれくらいの中毒例があれば予防処置をとらなければならないのか?」、「危険を予測できたのか」という基準が示されていないところだ。
 イシガキダイというのは千葉県に置いては、いたってありきたりの食用魚である。
 県内で過去に中毒例はあったのか、もしあったとしたらどれくらいの回数あったのか。
 ヒラマサでの中毒例は有名だが、それは希な出来事だと記憶する。
 シガテラ毒は熱帯の島々でも、ここの島によって魚の毒化があったり、なかったりする。
 現在でも和歌山県、静岡県、東京都(伊豆諸島)などからイシガキダイの入荷がある。
 市場には普通に並んでいる。
 例えば、目の前にあるとして静岡県産、もしくは都内のイシガキダイにどれくらいの危険性を感じるべきなのか?
 毎日のように市場でいると、在り来たりに並んでいる流通魚に対して「危険を予測すること」は不可能だろう。

 ようするに今回の判決は被害者救済ということに比重をおいたものだというのがわかる。
 だから判決としては妥当なのかもわからない。
 最善ではないけど、両者(原告被告)痛み分けのような形となっている。
 しかし、この場合の加工者の打撃、またイシガキダイの魚価値の低下は深刻なものとなる。
 ボクが考えるにこれはおかしい。
 シガテラのような毒(魚の餌による)の場合、「予測できる地域」と「予測出来ない地域」がある。
 この予測できる地域は売買・加工者に責任を負わすべきだが、予測できない地域では国が救済処置をとるべきだ。
 前提には産地表示の厳正化が必要となるが、これによって加工者(料理店など)が無責任になるなんて危惧は不要だろう。

 いかん、前置きが長すぎる。
 閑話休題。

 和歌山県から普通に入荷してきたイシガキダイは400グラムほど。
 これを久しぶりに握ってもらう。
 実際に食べる段になると、シガテラ毒の恐怖感はひかないものだ。
 これなど、確率の低さがわかっていても、抑えることが出来ないもの。
 透明感のある白身で、たかさんは無邪気にも、すぐに口に放り込んで「うまーいね」なんていう。
 続けとばかりに、二かん立て続けに食べて、確かにこれはうまいものだと、すーっと恐怖感が消えてなくなる。
 定置網に入って締めてから出荷してきたもので、さすがに食感がいきている。
 しかも旨味もあって、すし飯のなかでも味わいは消えない。

 その日は、たっぷりイシガキダイの刺身を食べたのだが、二日たっても異常なしなのである。

寿司ネタ(made of)

イシガキダイ
Spotted knifejaw, 台湾/斑石鯛

イシガキダイ
イシダイよりも暖かい海域にいて、東北などでは珍しいものだった。実際、『魚名集覧』(角川書店・日本常民文化研究所 1943年:昭和18-1958年:昭和33)などを包括した『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂 1981)には福島県小名・・・・
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