寿司図鑑 697貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

赤比賣知/アカヒメジ

あかひめじ / アカヒメジ
赤比賣知/アカヒメジ
握り

定置網という漁法は季節季節にいろんな魚が入ってくる。
 また設置する地域によって最盛期があって、例えば有名な富山県などではブリの入る寒い時期が、島根県ではマアジの入る春から初夏までが、もっとも港賑わう時期だ。
 これが和歌山県から南、夏には熱帯の海と化してしまう地域では、水温の下がる秋から初冬が量的にも種類の多さからもとれ盛る時期となる。
 面白いもので熱帯にいる魚が北上して網に入ってくるのも、この晩秋から初冬となる。

 さて、それほど熱帯系でもないけど、アカヒメジは国内でも暖かい地域にしかいないもの。
 熱帯の魚、暖海の魚の宝庫、和歌山県串本市の定置に入ったものだ。
 フレンチの世界のルジェーにあたる。
 普通、このような魚はまとまってとれないので雑魚となるもの。
 評価の低い魚なのだけど、食べてみるとなかなかいい味わいなのだ。
 とくに向いているのがエスカベッシュ(スペインの南蛮漬けといったもの)、フライ、ムニエル、ポワレなど。
 でも日本料理として皮付きのまま霜皮造りにしても、なかなか美味なのだ。

 霜皮造りで握りに、と思っていたら、たかさんが三枚に卸して、あっという間に皮を引いてしまった。
 生でそのまま食べると、案の定うまくない。
 しかたなく昆布締めにしてしまう。

 これは間違いなくうまかった。
 うまかったけどアカヒメジである必要があるのか、というほどに個性が消失してしまっている。
 平凡な旨味のない白身魚で、食感が失われて、昆布の風味に支配された味わい。
 その上に色合いがくすんで見栄えが悪い。

 残念ながら今回のアカヒメジの握りは失敗作。
 次回は皮霜造りで再度挑戦。

寿司ネタ(made of)

アカヒメジ
Yellowfin goatfish

アカヒメジ
定置網などでとれるもので、まとまってとれないので商品価値は低い。
味のいい魚なので、とれたなら流通にのせていただきたいと思う。・・・・
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