寿司図鑑 716貫目
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松江市内『大鯛寿司』の十二かん、その十二だし巻き玉子

だしまきたまご /
松江市内『大鯛寿司』の十二かん、その十二だし巻き玉子
握り

とうとう、これが最後の一かんだろうというのが、だし巻き玉子(卵)。
 まことによくできた、例えば特上の卵焼きに見える。
 海苔帯で巻いて、半分に切ってある。
 そのどこにも隙がない。
 歌舞伎や踊りの名人というのは、動きに無駄がなく、自然な流れのなかで形を決めるのだという。
 目の前の一かんはそんな無駄のない極めて美しい握りとなっている。
 手にとって正面を向けると助六の顔に見える。
 なんだか粋、である。

 話は玉子焼き自体に移る。
 東京のすしでは、だしを使わないで魚などのすり身が入った厚焼き玉子を使うのが普通だった。
 それが最近ではだし巻き玉子が主流になってきている。
 河岸玉という市場で業者が焼いている玉子焼きも、カツオ節や味醂などが入って、「だし巻き玉子化」が進んでいて、これも一現象として面白い。
 本来の厚焼き玉子は、どっしりと重いし、また仕込みに時間がかかるのだ。
 その上、近年、だし巻き玉子の柔らかくて口当たりが軽く、甘みも旨味もほどほどにあるのに人気が出ているのも間違いない。
 ボクはそれほど昔の厚焼き玉子に執着があるわけではない。
 ただだし巻き玉子が握りに向いているかは、疑問が残る。
 むしろ握りには不向きだと確信しているのだ。
 この玉子焼き論議はまたの機会にする。

 だし巻き玉子にもうまい、まずいがあるのは当然だが、一口食べて、目の前に来た玉子焼きの良くできている、その出来映えに驚く。
 ていねいにていねいに焼き上げたに違いなく、これはまさに高級割烹料理とでもいえそうな玉子焼きだ。
 あえて気になるところと言えば、二かんではとても満足できない点だろう。
 ボクなら一気に十かんくらいは口に放り込める。
 やはり、この十二かんは夜、軽く酒を飲んだ後にふさわしい。
 もしくはボクなどのような大食い肥満男ではなく、抑制力ある、真のうまいもん食いに食べてもらいたい。

 さて、細かい問題点がなくもない、『大鯛寿司』ではある。
 しかし観光客などにはこれ以上ない松江の松江ならではのすしが、ここにある。
 美しい城下町、宍道湖などの自然も豊かであるし、うまいすし屋もあるのだから、島根松江はよいところなのだ。

 『大鯛寿司』の十二かん、お後がよろしいようで。

大鯛寿司 島根県松江市東奥谷町361-9

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