寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
まんばの生醤油漬け握り
まんばのなましょうゆつけにぎり / ヒラソウダ
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寒の「まんば(ヒラソウダ)」がうまい。
特に鹿児島県南さつま市笠沙の、若潮さんからくるのがすこぶるつきにうまい。
うまいし、幾ら食べても飽きが来ないし、食べると、また食べたくなる。
年末に堪能して、年始となってからは食べる機会を逃している。
しかも今週は荒れ模様で漁がなかったのだ。
早く送ってもらわないと、水温が下がりすぎてヒラソウダもとれなくなるに違いない。
昨年秋から、そろそろ二月になろうとしているのに、今期ほど、うまいヒラソウダを食らう機会に恵まれなかったこともないだろう。
結局今週もダメだったので、暮れに食べた「まんばの生醤油漬け」のことを記す。
日本橋『吉野鮨本店』店主であった吉野ます雄が書いた『鮓・鮨・すし すしの辞典』は、すしの歴史を調べるときに欠かすことの出来ない書籍である。
その吉野ます雄が長崎で食べて、また自分でも試してみたというのが、カツオの生醤油漬け。
江戸前握りの定番的な料理法に「漬け(ずけ)」というのがある。
生醤油と酒、味醂などを合わせて、一煮立ちさせたものにマグロ、カツオなどを数時間漬け込む。
昔は知らず、現代では生醤油だけで魚を漬けるなんて絶対にしないはずだ。
醤油辛くて、まず食べられたものじゃない。
きっとそうに違いないと思ったけれど、試してみないわけにはいかない。
それを笠沙からたっぷり送ってもらった脂ののった「まんば」で試してみた。
三枚に卸し、血合い骨を切り取った2枚分、すなわち半身をただ単に5時間ほど生醤油に漬け込む。
「まんば」の身は生醤油のなかで水分を失って硬くなり、身は粘質にとなって切り付ける包丁が重い。
まずはそのまま食べるに練り辛子とワサビを用意する。
生醤油でしまった身はねっとりと、酸味を感じさせながらも、遅れて甘みとうま味を浮き上がらせてくる。
不思議なことにあまり塩分濃度が強くない。
醤油辛くないのだ。
過去に食べたことのない、醤油の味とヒラソウダのうま味の融合した味わいで、これがなかなかうまい。
『市場寿司 たか』に持ち込んだら、すし職人の渡辺隆之さんが怪訝な顔つきで、腹身のちょうどど真ん中あたりを切り付ける。
切り付けて、一切れ口に放り込み、「あれあれ、うまいじゃない」。
握りが二かんきて、自分用にも二かん用意する。
これは味見してうまかった証拠である。
「たかさん、きりっとした味じゃない」
「そうだな、後に甘みが来るね」
「それは脂が溶けだしたから、感じるんだね」
続けて、こんどは練り辛子をネタにつけものを二かん。
醤油漬けに練り辛子は出合いのものであるようで、ワサビではどうにも相性が悪い。
「面白いね、生醤油だけだよね。まったく別の味になってるよね」
さて、翌日、この生醤油漬けをあられに切り、すし飯に散らしてみた。
我が家の酢飯はやや甘め。
そこに錦糸卵に、生醤油漬けのあられ、タクワン、しば漬けのかくやを散らして、夕飯としてみた。
これはまたご飯でいながら佳肴でもあって、なかなかよろしいおましたで!
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ヒラソウダ
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