握り Nigiri軍艦巻 gunkanmaki海苔巻 Norimaki丼・ちらし Don/Chirashi郷土ずし Kyoudozushiなれずし Narezushiいずし Izushiいなりずし Inarizushiその他 Others

クロサギを見つけると最近、かならず買うことにしている。
　とにかくクロサギ科の魚の同定能力をつけたい、というのが目的。
　今回のものは鱗の剥がれやすさから、例えばミナミクロサギでもダイミョウサギでも、また新種とされたセダカダイミョウサギでもないようだが、大きくて鮮度がよくて、その上やすいので思わず買ってしまった。

　仕方なく慌ただしく撮影して、そのまま『市場寿司　たか』に持ち込む。
　卸ながらも、「こりゃーいいよ」とたかさんが太鼓判をおす。
　握ったその色合いがまたきれいだ。
　クロサギは銀皮の下に黒い筋が入るのだけど、それ以上にその下にある身が白磁を思わせる。
　きれいなだけじゃなく、まったり脂があり、そこにクロサギならではの甘みが感じられる。
　雑魚のたぐいなので、なかなかいい状態で入荷してこないのだけど、この魚を見直す思いがする一かんだ。

「たかさん、白身である程度うまいのは、握りの中に絶対に欲しいだろ」
「そうだよ。いつも言ってるだろ。思い切り旨くなくてもいいから無難なやつ」
「でもこれは無難なやつではないね。ただもんじゃない」
「それはいいすぎだな。オレは平凡だと思うよ。在り来たりだけど、うまいってやつ」

　あと二、三かん握ってもらったら、やっぱり平凡かな？
　そう考え直したり。
　これが白身の難しいところだ。