寿司図鑑 767貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

稚児鱈/チゴダラ

ちごだら / チゴダラ
稚児鱈/チゴダラ
握り

沼津の仲買、菊貞・山丁 菊池利雄さんから、
「底引きが終わりました。最終競りの魚を送りました。楽しんでください。これからは夏の魚になりますから、面白いものがあったら必ずまた送ります」
 こんなメールが届いた。
 五月中旬になると、毎年恒例になっている、底曳網終了の連絡である。

 ほどなく沼津から、大きな荷物が届いた。
 底曳網のカサゴ(ユメカサゴ)、ゲホウ(トウジン)、ムツ、ゴソ(ハシキンメ)、ノドクロ(チゴダラ)、ソコアマダイモドキ、ソコホウボウ。
 ウチワエビも入っていて、こちらは刺し網で揚がったものだろう。
 それこそ豪華絢爛な駿河湾海の幸だ。

 このなかでいまだ寿司図鑑で取りあげていなかったのが、ノドクロ(チゴダラ)だ。
 駿河湾のノドクロを三陸の方に見せると「なーんだドンコじゃないか」と言うだろう。
 確かにどこからみても三陸のドンコ(エゾイソアイナメ)そっくりだ。
 二種の違いは外見からはまったく判断しかねる。
 エゾイソアイナメは銚子以北の浅い岩礁地帯に生息する。
 チゴダラは深海底引きであがるくらいだから、東京湾以南の深い海底にいる。
 生息域は違うけど、個人的には同じ魚なんじゃないか? と疑っている。

 三陸でドンコが愛されているのは、その肝のうまさ故だ。
 そして駿河湾ノドクロだって、肝のうまさでは負けてはいない。絶品なのだ。
 三尾入っていた二尾に、その肝心の肝がほとんどなかった。
 それこそ親指の爪くらいの大きさだったのだ。
 当たりは一尾のみ。腹に大きな肝を抱えている。
 この当たりの一尾を三枚に卸して、身をとんとんとたたく、ここにゆでた肝、ネギ、少量のみそを合わせて、またまたとんとんと叩くのだ。
 どうして、とんとんたたいてしまうかというと、チゴダラは水分の多い魚で、身はほろほろとくずれやすい。
 だから最初から、たたき、肝やみそ、薬味と合わせた方がいいと思ったのだ。
 ようするに千葉県の「なめろう」、三陸の「みそたたき」となる。
 確か、三陸ではドンコのみそたたきをよく作る。

 これを『市場寿司 たか』に持ち込んだのだ。
 見た途端、たかさんが嫌な顔をする。
「食べてみてくれる。まずはさ、ちょっと醤油たらして」
「うまいよ。うまいけど、すしにしてもだめだろうね。みそはすし飯と合わないよ。それでも握る」

 このたたきを上にのせた握りがボクにはうまかった。
「悪くないじゃない。たたきはうまいし、ショウガのせると合うよね」
「でもそのまま食べた方がよくない」

 残念なことに、その通りだ。
 チゴダラの身は淡白で旨味に欠ける。肝のうまさが、それをおぎなってあまりある。
 甘みは一切加えてないのに、肝の旨味が甘いように思えてくる。
 確かに、これだけ食べる分にはとてもうまい。すし飯にあえて「のせなくてもいい」のかな?
 逆にいうと「のせてもいい」んじゃないだろうか、うまいよ。
 
2009年5月11日

寿司ネタ(made of)

チゴダラ
Japanese codling

チゴダラ
海水魚。北海道〜高知県柏島の太平洋沿岸、北海道〜山口県の日本海沿岸。〜パラオ海嶺、済州島、台湾。
水深150メートルから 650メートル。・・・・
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