寿司図鑑 775貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

葵貝/アオイガイ

あおいがい / アオイガイ
葵貝/アオイガイ
握り

アオイガイは貝ではない。タコの仲間だ。
 タコイカなどの祖先は例えばアンモナイトのように貝殻を持っていた。
 例えばイカがもともとは貝殻を持っていた証拠がコウイカの甲となって残っている。
 甲は貝殻の変化したものだ。
 なぜ体内に取り込んでしまったかと言うに、貝殻を背負っていては、どうにも動きづらいためだろう。
 そんな重苦しい貝殻を今でも持っているのは、生物としてガンコなんだろうね。
 沖合を貝殻に入ってぷかぷかと漂流している。
 そして夏ともなると日本海に流れ込んきて、ときに定置網などに大量に入る。

 入ったらどうなるのか? 捨てられるのだ。
 まことに美しい貝殻で、5つ、6つと拾い集めて抱えていると、島根半島馬島の定置網漁師さん、親切にもっときれいで中身入りのものを渡してくれる。
「これはこの辺だと、お守りっていうんかね、床の間なんかに飾って置くんです」
 それほどに、この薄いやや青みがかった貝殻は美しい。
 貝殻はコンクリートの上で青白く輝いて見える。
 その傍らに、貝殻の持ち主が、こちらも銀色に輝いて横たわっている。

aoigai090645.jpg

 美しさに見とれながらも、定置の方達に、
「これ食べないんですか?」
「食べないね。まずいだろ。昔から食べられん思っているからの」
 貝殻以上に本体を拾って、直接『市場寿司 たか』に送る。
 ちなみにこの日は県の仕事で馬島定置を視察していたのに、完全に仕事を忘れてしまっていた。
 県職員の方には、すまん、すまんと謝っておく。

 アオイガイに遅れること一日で、『市場寿司 たか』のドアを開けると、なんだかたかさんがプンプンしてる。
「どうしてあんな、砂だらけの変なタコ送ってくるんだよ。困るだろ。捨てたよ」
「まさか、全部」
「ほら、10本だけ仕込んでやったけどね。コイツがなんだか水っぽくてさ、うまくもなんともない」
 貝殻は気に入ったらしく店内に飾ってある。

 そして本体は、たかさんの言うとおり、味がない。
 食感が悪いし、表面がべとついて、あんまり気持ちのいいものじゃない。
 煮た方がよかったかも知れない。
 でも煮てしまったら、余計に持ち味は失われるだろう。
「これは漁師さんたちが食べないはずだよな」
「そう思うだろ、今度は貝殻だけ送ってこいよ」

寿司ネタ(made of)

アオイガイ
Argonaut argo

アオイガイ
食用として流通することはまずない。
装飾用に飾る地域がある。・・・・
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