寿司図鑑 788貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

めはり寿司/高菜ずし

めはりすし /
めはり寿司/高菜ずし
郷土ずし Kyoudozushi

今回の一かんが“めはりずし”。
 これは“すし”とはあるが“すし”ではない。
 ただのお握りなのだけど、名前に“すし”とあるので、取りあげることとする。
「もんくあるなら出てこい」
 人生幸朗の口調で開き直ることにする。
(だれも人生幸朗知らないだろうけど)
 “めはりずし”は“目張りずし”のこと。
 お握りを高菜漬けで包んだもので、かぶりつくに、目を張るほどに大きい、ということから来ている。

 尾鷲から紀伊長島を通り、高速に乗る途中に「道の駅 マンボウ」がある。
 こういったところで、お土産を買うのが、世の常で、同行したキイさんは檜のまな板を買い求めていた。
「この娘はいいお嫁さんになりそうだな」
 こんなことを考えてしまうのも、まことにオヤジ臭い。
 フーテンの寅さんなら、
「キイちゃん、幸せになりなよ」
 なんてね。ボクもこんな言葉がパッと出るようになりたいものだ。
 我が子がお土産を探している間に見つけたのが“めはり寿司”。
 もうかれこれ20年以上前に和歌山県新宮市(熊野市だったかも)の専門店で、食べており、これでは丸かじりしても「目を張れない」どころか、おちょぼ口になってしまう、そんなチマチマしたものだった。
 その上、味わいにまったく素朴さがない。
 くだらない食い物だ。あれは“目張りずし”の偽物だった、なんて思い出していたら、三重県の「めはり寿司」はそれ以上に小さいのだ。
 さて、今回のものもそうだが近年、高菜漬けを塩だしして、醤油などで味つけし、ご飯をくるんでいる。
 しかし、古くは漬物の高菜をそのまま使ったようだ。
 考えてみれば当たり前で、高菜漬けはあくまで保存することが優先となり、塩辛いはず。
 高菜に味つけするのも、目を張るどころか、おちょぼ口でも食べられるというのも、本来の“めはりずし”から離れてしまっている

 紀州は木の国、山仕事に、それこそ両手で持つくらいの塩辛い高菜のおむすびを持っていった。
 山道を上り下りし、激しい労働にでっかいお握りはなくてはならないもの。
 山仕事が厳しければ厳しいほど大きくなったんだろうね。
 そんな素朴な“めはりずし”が食いたい。
 切に切に思う。

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 ただし、この吉野寿司の明らかに現代化した“めはり寿司”がまずいわけではない。
 おかしいくらいに青々した高菜に、おいしいご俵型のお握り。
 なかにカツオ削り節と刻んだ高菜が入っている。
 うまいんだけど、もの足りない。

 このようなものを食べると、よけいに“目を張るほど大きな”、高菜ずしを食べたい。
 切に切に、もの苦しいほどに思う。

吉野寿司 三重県北牟婁郡紀北町紀伊長島区東長島

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