寿司図鑑 804貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

油坊主/アブラボウズ

あぶらぼうず / アブラボウズ
油坊主/アブラボウズ
握り

「この間ね。小田原で食べた魚でさ、煮つけでよ、うまかったんだよ。“おしつけ”ってのさ、なんて魚だい」
八王子の老舗魚店のオヤジさんがボクを追いかけてきて聞く。
「ああ、それ、アブラボウズのことです」
数日して、「おいおい」とまたつかまって、
「あのな、アブラボウズってのは食っちゃいけねえんじゃないのか」
「いいえ、食べ過ぎなきゃいいんですよ。グリセリドって油が多くて、肝なんか食べ過ぎるとダメなんですけど、毒があるわけじゃないんです」

こんな会話を交わした数日後、沼津の魚屋でアブラボウズの切り身を見つけた。
まだ10時前のこと。
「下ろしたばかりだよ、(千葉県)銚子から来たヤツだけど、刺身でいけそうだ」
ここで一切れ買い求めて東名高速を東に走る。
ちなみにアブラボウズを好んで食べる地域があり、それが静岡県東部と神奈川県小田原市。
特に小田原の魚食文化は特徴的で、その最たるものが“おしつけ”が大好きであること。
日本一アブラボウズが高いのも小田原なのである。

『市場寿司 たか』に飛び込んだら、1時半過ぎとなっていた。
たかさんに手渡すと、
「なんだいこの白いのは」
アブラボウズの説明をひとしきり、待つほどもなく握りとなって出てきた。
全体が脂で白濁したぼってりした風情で、ぜんぜん美しくない。

口に放り込むと、なかなか捨てがたい味ではある。
ただし、そんなにうまいものではない。
白いけど、食感はまさにトロそのもの。
ただしマグロのように酸味がない。
べたーっとした甘さがあって、魚らしい旨味にも欠けるように思えるのだ。

「脂っぽいな。おれは嫌だな」
たかさんは例えば本マグロの大トロも好きではなく「赤身好き」なのだ。
アブラボウズが好きなはずはない。
あえていうとボクも好みとは言い兼ねる。

翌日、アブラボウズの煮付けを持参してみると、今度はたかさんが大絶賛なのだ。
やっぱり脂っぽい生は好き嫌いが出るようだ。

寿司ネタ(made of)

アブラボウズ
Skilfish. Blackcod

アブラボウズ
古くから脂の多い魚として知られていたもの。
北洋漁業が開拓する以前はギンダラよりも知名度は高いものだった。
好んで食べる地域は限定的。
特に小田原では寒い時期の「おしつけ」はなくてはならないもの。・・・・
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