寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
油坊主/アブラボウズ
あぶらぼうず / アブラボウズ
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「この間ね。小田原で食べた魚でさ、煮つけでよ、うまかったんだよ。“おしつけ”ってのさ、なんて魚だい」
八王子の老舗魚店のオヤジさんがボクを追いかけてきて聞く。
「ああ、それ、アブラボウズのことです」
数日して、「おいおい」とまたつかまって、
「あのな、アブラボウズってのは食っちゃいけねえんじゃないのか」
「いいえ、食べ過ぎなきゃいいんですよ。グリセリドって油が多くて、肝なんか食べ過ぎるとダメなんですけど、毒があるわけじゃないんです」
こんな会話を交わした数日後、沼津の魚屋でアブラボウズの切り身を見つけた。
まだ10時前のこと。
「下ろしたばかりだよ、(千葉県)銚子から来たヤツだけど、刺身でいけそうだ」
ここで一切れ買い求めて東名高速を東に走る。
ちなみにアブラボウズを好んで食べる地域があり、それが静岡県東部と神奈川県小田原市。
特に小田原の魚食文化は特徴的で、その最たるものが“おしつけ”が大好きであること。
日本一アブラボウズが高いのも小田原なのである。
『市場寿司 たか』に飛び込んだら、1時半過ぎとなっていた。
たかさんに手渡すと、
「なんだいこの白いのは」
アブラボウズの説明をひとしきり、待つほどもなく握りとなって出てきた。
全体が脂で白濁したぼってりした風情で、ぜんぜん美しくない。
口に放り込むと、なかなか捨てがたい味ではある。
ただし、そんなにうまいものではない。
白いけど、食感はまさにトロそのもの。
ただしマグロのように酸味がない。
べたーっとした甘さがあって、魚らしい旨味にも欠けるように思えるのだ。
「脂っぽいな。おれは嫌だな」
たかさんは例えば本マグロの大トロも好きではなく「赤身好き」なのだ。
アブラボウズが好きなはずはない。
あえていうとボクも好みとは言い兼ねる。
翌日、アブラボウズの煮付けを持参してみると、今度はたかさんが大絶賛なのだ。
やっぱり脂っぽい生は好き嫌いが出るようだ。
寿司ネタ(made of)
アブラボウズ
Skilfish. Blackcod
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