寿司図鑑 803貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

近目金時鯛/チカメキントキダイ

ちかめきんとき / チカメキントキ
近目金時鯛/チカメキントキダイ
握り

「並んでると、きれいだなー」
 近所の居酒屋のオヤジがつぶやく。
 市場の魚屋に並んでいるのがチカメキントキなのである。
 どこか金属を思わせる色合いの赤。
 市場にあっても、やたらに目立つ赤だ。
「でも、身質はどうなの。白身だよね」
「きれいな白身ですよ。問題は歩留まりの悪さかな」
 梅雨明けしたはずなのに小雨模様、魚の少ない時期の赤い魚はあっという間に売れてしまったのだ。

 1尾だけ、『市場寿司 たか』に持ち込んで、握りにしていただく。
 たかさんがもっとも好きな、“上品な白身”なので、仕事は早い。
 ちなみにチカメキントキはウロコを取る必要はなく、とにかく大きすぎる頭を落とし、皮付きのまま三枚に下ろす。
 皮とウロコが合わさって厚みがあるので、さっと包丁で引き、あとは切り付けするだけ。
「キントキはまな板が汚れない魚、だよね」

 目の前にやってきた握りの、なんと美しいことか。
 味だって、なかなか捨てがたいものがある。
 白身魚であっさりとして、そんななかに、ちゃんと魚らしい旨味が浮かんでくる。
 ほどよい食感で、すし飯とのなじみがいい。

 実はこの日、新サンマ二かんを食べたばかりなので、実にチカメキントキがもの足りない。
「たかさん、最初にチカメで、そのあとサンマにすればよかったな」
「そうかい。オレは違うな。サンマのくどさを、白身で消すって感じだね」

寿司ネタ(made of)

チカメキントキ
Longfinned bullseye

チカメキントキ
北海道南部から熱帯域まで広く分布している。やや沿岸の岩礁域などにいて延縄、刺網、定置網などでとれる。キントキダイ科ではもっとも北に生息域を広げ、もっとも入荷量が多いが、小笠原や静岡県以南での水揚げが多い。本種だけではなくキントキダイ科の魚は・・・・
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