コロダイの握り
ころだいのにぎり / コロダイ
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5月になり、主に鹿児島県や三重県からコロダイが入荷してくるようになってきている。重さ1キロから2キロ上まで、すし屋がなかなか手を出せない大きさである。今回のものは鹿児島県産の2キロ級を市場で半身にしてもらったもの。知名度の低さと、大きさとで売れないので、仲卸が半身で出し始めたのを見て、即買いしたが、このきれいな身を見ても買わない人は買わないもので仲卸は苦戦を余儀なくされていた。
さて、なんども持ち込んでいるのでコロダイにもなれただろうと、何も言わないでたかさんに渡すと、皮の模様を見て、変わった魚だね、なんてのたまう。ぜんぜん、記憶にない模様だ。
ただし、皮を引き、味見するとその美味しさに素直に喜ぶ。これがたかさんのよいところでもある。「素直がいちばん」である。
ことほどさようにイサキ科で鯛型の種というものは関東のすし職人には馴染みがない。目の前に突き出しでもしないかぎり使おうとしないのである。
たかさん、しょうゆをつけないでじっくり味わって、
「少しだけ磯臭さがあるよね。イヤな気はしないけど、お任せでは使いにくい」
「微かだけど、気にする人はいるかもね。ただ大方の人は大丈夫だと思うな」
それが証拠に居合わせた方に試食して頂いたら、予想以上に好評であった。
さて、寒い時期のコロダイは皮下に脂の層を作り、身に回らない。そのせいで脂があるのに身が硬い。この晩春のものは身に脂が回っているのだろうか、適度に身が柔らかいのだ。
目の前にきたのをつまむと、すし飯との相性、馴染みも意外にいい。脂の甘味とうま味があって、食感もほどほどに楽しめて、すし飯とほとんど時差がなく口中から消えて行く。
「どうこのネタの厚さ」
「ネタを大きく薄く切りつけたんだね。さすがベテランすし職人だ」
確かに薄く切りつけることも重要だろう。こんなことは、すし職人なら気づいて当たり前だとは思うが、すし飯を覆い被せるようにつけたのも正解だ。
さて、イサキ科の魚を食べると、夏近しと感じるのはボクだけだろうか? 春も終わりのコロダイは、まだ「走り」のようである。
2013年05月23日
寿司ネタ(made of)
コロダイ
Painted sweetlip
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