寿司図鑑 1419貫目
もろこ押しずし
もろこおしずし / モツゴ
握り nigiri軍艦巻 gunkanmaki海苔巻 Norimaki丼・ちらし Don/Chirashi郷土ずし Kyoudozushiなれずし Narezushiいずし Izushiいなりずし Inarizushiその他 Others
愛知県西部に広がる水郷地帯で祭などに作られる押しずしだ。「もろこ」であるモツゴ、タモロコ、「はや」と呼ばれている小ブナなどが使われている。
古くは、これら縦横に走る水路や小河川の小魚は、当地では盛ん取られ、甘辛く煮つけられ日々の食卓に上がった。これを当地では「もろこ煮」という。
祭のときには押しずしの木型にすし飯を敷き、上に佃煮を敷き詰めて一晩押しをかける。押しをかける専用の木枠には、長年祭などで大量に作られてきた歴史を感じる。
これを切り分けて大皿で供される。これを銘々が取り分けて食べる。ひときれでお腹いっぱいになるが、これが祭のご馳走らしいところだろう。
佃煮の味わいは比較的軽くあっさりしていて、程よい食感がある。そこに佃煮の煮汁が馴染んだ酢飯がくるのだけど、実に味わい深い。
今回のものはすし店のものだが、佃煮の味わい、酢飯の味のバランスが絶妙である。
近年、食べる人も、漁をする人も減少傾向にある。この尾張海部の淡水魚の食文化が残って欲しいものだと祈る。
2006/04/08
[末廣寿司 愛知県津島市本町1丁目66]