寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
薔薇目抜/バラメヌケ
ばらめぬけ / バラメヌケ
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「夏枯れか?」
八王子魚市場、仕入れにきた寿司屋がつぶやいた。
場内は七月下旬となってがらんと隙間だらけ、黒い床が見えて暗く感じる。
「新サンマが安くならないな」なんて一本手に取ったら、隣になんと一キロ上くらいのバラメヌケが二匹。
深海生の赤いメバル属を一般に「目抜類」と呼ぶ。
この鮮やかな赤色が意外に空気にふれると飛びやすく、なかなか色の美しいのに出合わない。
特にバラメヌケの色落ちが早いようなのに、ここにある青森産はまだまだ鮮やかな赤色をしている。
値段を聞くとキロ当たり2800円。
目抜類でキロ当たり3000円を割ると安く感じる。
これを買い求めて、自宅で三枚に卸し、湯引きして『市場寿司 たか』に持ち込む。
前回は無常にも皮をいきなり引かれてしまった。
その予防策に仕込みはボクが担当する。
たかさんには、ネタを渡してたんたんと握っていただく。
まずは、たかさんから。
「うううーん、小さいようだけど、脂があるね。身がトロっとしてる。皮もうまい。これキロ幾らした」
2800円だというと、
「ウチじゃ、無理な値段だね。最近は単品で好きなネタ頼まれるようになったけど、まだまだ少ないからね」
ネタを舌に受けて、まずトロっと感じるのは当然脂があるせいだけど、バラメヌケの場合、それ以上になにかある。
当然、皮の旨味も強くて、身のも旨味がある、そして甘い。
口の中がお祭り騒ぎとなり、一個食べると、やめられなくなる。
見やると、たかさんも手が止まらなくなって、どんどん握っている。
お客に回す分が残るか、心配になる。
いかな寿司屋とはいえ、お客のことばかり考えていられるわけがない。
あまりにうまいネタは、そーっと片隅に隠すことも。
寿司屋に入って、席に座りネタケースの隅から見ていくというのも正解なのだ。
寿司ネタ(made of)
バラメヌケ
Rose-rockfish, Brickred rockfish
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